クラ県の中心から東へカシュ河の源流に至ると、そこに約150平方キロの新奇な土地が広がっている。その1つの谷間の東側の尾根に巨大な岩石がある。玉璽(ぎょくじ・天子の印)に似ているところから、この美しい土地は「タンブラ」(カザフ語で「印章」の意味)と呼ばれるようになった。ここに連なる草原と森林はまるで階段のように高低があり、起伏は実に変化に富み、カシュ河が東から西へとゆったりと流れていく。スイスの光景のように、いたる所で渓谷や森林、草原、高山、氷河、湖、温泉などが見られる。そしてここに、谷間に19本の小川が流れるモンコト草原や、規模は小さいが美しく透明で「小天地」と呼ばれる高山の湖、峻険な姿で聳え立つ怪石が林立する「小華山」、温度が高く、水質が良く、多種の微量元素を含み、各疾病に効くといわれる4大温泉などがある。どの景観も人を酔わせてやまない。美しいタンブラにとって、それがとくに独特のものなのだ。さらに、岩層の断裂による地熱温泉の密度は他の山系では少なく、奇抜で特色のある岩画、土盛り墓など草原文化の古跡、カザフやモンゴルなどの民族の歌、競馬、刁羊(ちょうよう・山羊を馬に乗って奪い合う競技)などの民俗風情もタンブラに神秘の彩を添えている。
「チャイナネット」2007年7月5日