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「中国の一日」応募作品の紹介 |
発信時間: 2009-09-15 | チャイナネット |
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9月17日付けの応募作品
応募者名:林国本 国籍:中国
「中国の一日」というテーマは考えようによっては非常に大きなテーマである。そういうことで、一つの分野に絞って書かないと焦点がぼやけてしまうのではないか、とも思えるのである。 私は第一線を退いたジャーナリストであるが、さいきん、第一線にいないおかげで豊穣そのものの自由時間という宝物を手に入れたのではないかと喜んでいる。クリエイティブ人間になるチャンスかもしれないからである。 ちなみに私の住んでいる住宅団地は、計画経済時代の名残りとでもいうか、ほとんどが同じ系列の人たちの住居のあるコミュニティで、60年代から一緒に仕事をしてきた人たちが、定年後の生活を楽しんでいる。この団地の一角に「老幹部活動ステーション」という施設があって、そこでは中国将棋、囲碁、ブリッジ、ポーカー、ビリヤードを楽しむコーナーがあり、毎日、常連がわいわい、がやがやと楽しんでいる。なかには凝り性の人もいて、自腹を切って、ビリヤードの用具一式をそろえている人もいる。みんなが使っているものでは、球の回転や動きを感覚的にコントロールしにくい、ということで自前のものを奮発してそろえたらしい。 知人が、「活動ステーション」の方へ向かって歩いているので、「どちらへ?」と話しかけると、「これから万里の長城をつくりにいくところです」とニコニコして答えるのだった。つまり、マージャンを楽しみにいく、ということなのである。 日本に何人かの知人のいる、元「中国画報」のGさん(83歳)は、団地では盆栽いじりの「名人」といわれており、この人が団地の一角で栽培した花や青竹はプロの域に達するものといわれている。毎日、水をやったり、土盛りをしたりで超多忙である。 元編集次長のDさんも、高齢で社交ダンスに打ち込み、プロに近い域に達している。 コーラス、老年ファッション隊もあり、豊富多彩である。 もともと、系列で経理の仕事をしていた人などは、民営の会社のお手伝いをしている。ほとんどの人たちが充実した晩年を送っているのである。 私も本来ならこのカテゴリーに属する人間であるが、70年代の初期に多くの元同僚が脱サラして、メーテルリンクの言う「青い鳥」―新しい「生きがい」を求めて去ってしまったことで、ポッカリと大きな断層が生じ、「徒弟奉公式」のたたきあげの修行を受けた人間は一人か二人しかいなくなった。政治、経済、時事のニュースに比較的明るい人間と思われているせいか、いろいろなところから声がかかり、マージャンを楽しむどころの話ではなかった。さいわい、オランダの学者ホイジンガーさんが「ホモ・ルーデンス」という面白い理論を作り出してくれたので、メディアの一角でお手伝いすることもけっしてマージャンに劣るものではないと確信するようになり、私は変人、奇人かもしれないが、限界ぎりぎりまでメディアの一角で自分の可能性を試してみたい、と思っている。 中国は高齢化社会に入ったといわれている。額に汗して働いている人たちの「一日」もすばらしいが、第一線を退いた人たちの「一日」もかなりユニークで充実したものかもしれない。 私の住居の近くに国立図書館があるが、そこの日本の蔵書は東京の書店と同じくらい豊富だ。ときどき、私は一日じゅうそこでいろいろ勉強している。これは私にとっては自分の「中国に一日」といっても過言ではない。すこしでも、中国のメディアの事業に寄与することができればさいわいである、と思う昨今である。一風変わった「中国の一日」になってしまったかもしれないが、高齢化への挑戦は人類にとって大きな課題となることはまちがいない。そういうことで、あえてこの層の人たちの生き様を取り上げてみた。これもれっきとした「中国の一日」である。中国の高齢化対策の一端を知ることができるからである。
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