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「中国の一日」応募作品の紹介 |
発信時間: 2009-09-15 | チャイナネット |
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9月17日付けの応募作品
応募者名:宮田 聡美 国 籍:日本(中国広州在住) 題:広州での一日 広州の秋は、朝方の涼しい空気と台風が運ぶ雨風で、幽かな気配を感じることができます。そんな朝の5時半、私は起床します。 私は広州郊外の某私立大学の日本語教師。授業は8時半から。通勤バスに乗るため6時半に家を出ます。それまで私が取り組むのは、お化粧。化粧は、日本においては社会マナー或いは気持ちを仕事に切り替えるものですが、中国では学生に対する一種の「サービス」です。学生の多くは日本の女優やアイドルをよく知っており、私は無論彼女らに全然及ばぬものの、ともかくも学生が目にする最初の日本人。何事も「第一印象」が大事なので、38度の教室でも身だしなみと化粧は欠かしません。 通勤バスまでは公共バスを利用します。早朝は白雲山へ向かうお年寄りで超満員。どんなに満杯でも諦めず乗り込む意志力には感心します。快適でなくとも、元気な老人の姿はやはり気持ち良く、若者がさり気無く席を譲る光景にも心が温まります。中国も高齢化が進み、老人福祉の整備が急務ですが、こうした敬老精神が健在なら心強い限りです。 大学は、南国の木々の濃い緑と鮮やかな色彩の花々が美しいところです。環境は都市化の影響を避けられないものの、燕やトンボが飛び交い、虫や蛙の鳴き声が楽しめます。 私の担当は中級会話。話だけでなく礼儀も大切にしますが、強制はしません。強制は難しいし、現代の学生はプライドが高いので、自然に自覚を促す方がよく、私自身が学生に対し、常に笑顔で礼儀正しく振る舞えば、それでいいと考えています。それから、学生と同じくマンガとドラマで育ったので、教案はマンガや写真を使い、冗談や雑談で大笑いするのもしばしばです。 嬉しいことに、私の授業に対する学生の評判は悪くないようで、「教師の日」には学校から賞を頂きました。これは私の力というより、私の未熟と失敗をやさしく見逃してくれる学校と学生の寛容の賜物です。私の能力といえば、中国人が好きで、その思考や習慣を多少了解していること、また、戸惑いやストレスをほとんど感じずに授業できる「図太い神経」くらいです。ただ、肝に銘じているのは、一人一人の学生はご両親と中国の掛け替えのない宝だということ。今の仕事にストレスがあるとすれば、それ故の重責ですが、それも授業が始まって学生の可愛い笑顔を見れば直ぐ吹っ飛んでしまいます。 授業は昼前に終わり、帰路の途中スーパーや市場で買物します。市場のいろいろな食材は見るだけでも楽しく、肉や魚を切ってもらったり、野菜を藁で結ってもらうのも嬉しい。スーパーのサービスもどんどん進歩しています。私はサービスには必ずお礼を言いますが、これは、サービスとは、店と客相互の感謝から成り立つものと考えるからです。 家では、7時の「新聞聯播」を欠かさず見ます。独特の生真面目な雰囲気とキャスターの一人郭志堅さんが大好きで、私にとってこの番組は「中国は今日も元気、明日もきっと元気」という元気と癒しのメッセージなのです。その後は地元のニュースやドラマ、旅行番組などを見、就寝前には麦家の「暗算」を読みます。会話はダメでも、漢字のおかげで読書は大丈夫。「暗算」は、非凡な時代に非凡な職務を担った平凡な人々が、至上の国家安全と私心-家族愛、異性愛、友情、出世欲、嫉妬、焦燥等々に苦悩しながら困難な任務を完成していく姿を、簡潔で精緻な文体で描いており、思わず引き込まれます。 こんなふうに、広州での私の一日は、穏やかに楽しく過ぎていきます。そして、この平凡な日々が、中国の発展とともに日一日とよくなっていくのを実感しながら、10月1日の記念すべき日を、広州で静かに迎えたいと思っています。
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