日本経済新聞は5日、小野寺五典防衛相が当日の閣議で、2014年版防衛白書について報告し、了承を得たと報じた。同白書は、中国の海洋活動、朝鮮のミサイル発射、ロシア軍の活動などにより、日本周辺の安保不安定要素が増加しているとして、集団的自衛権の行使容認には「歴史的に重要な意義」があり、これにより日本の平和と安全がより堅固になると強調した。
日本は1970年代前半から防衛白書を発表しており、今年で40回目の発表となる。今年の防衛白書は昨年と比べ、日本が直面している「脅威」をさらに強調する内容となった。同白書は、「13年度の航空自衛隊機による緊急発進(スクランブル)は前年度比243回増の810回で、1989年度以来24年ぶりに800回を超えた。冷戦期に匹敵。中国機とロシア機への発進が95%超」、「グレーゾーン事態が増加する傾向にある。日本周辺を含むアジア太平洋地域における安全保障上の課題や不安定要因はより深刻化している」と記述した。同白書は中国について、「高圧的」な態度で海洋活動を展開していると批判し、中国の東中国海の防空識別圏の制定は、「東中国海の現状を一方的に変更し、事態をエスカレートさせ、不測の事態を招きかねない」とした。
中国国防部新聞事務局は、「事実無根」、「謂れ無き批判」、「意図的な誇張」という3つの言葉により、同白書の中国の軍事力の発展、東中国海の防空識別圏、中日の軍機の「異常接近」、東中国海問題、南中国海問題などに対する批判に反応した。中国国防部は、「日本は中国の脅威を意図的に誇張し、軍事安全政策の調整、軍備拡大の口実にしている。中国はこれに強く反対する」、「今後適時反応していく」と表明した。
日本がロシアを「脅威」とし、対ロ追加制裁を決定したことについて、ロシアも直ちに反応を示した。ロシア外務省は5日の声明の中で、「ロシアは、日本が対ロ追加制裁を決定したため、モルグロフ外務次官と杉山晋輔外務審議官の会談は不適切と考えている」と表明した。
韓国は防衛白書に対して、さらに激しい反応を示している。韓国外交通商部は5日、「日本は防衛白書の中で、独島(日本名・竹島)は日本固有の領土という主張を繰り返した。韓国政府はこの根拠なき妄言にショックを受け、憤っており、日本政府にこの間違った主張を即時撤回するよう求めた」と表明した。韓国はまた、双方の間で合意がなされていない排他的経済水域(EEZ)の境界線を、日本が一方的に表記したことについても抗議した。韓国外交通商部と韓国国防部は同日、日本大使館の公使と在韓国日本大使館の駐在武官を呼び出し、日本に抗議を表明した。
韓国の各政党も、日本の逆行する措置に集中砲火を浴びせている。韓国の与党、セヌリ党の報道官は5日、「日本政府が過去10年間、露骨に独島に対する荒唐無稽な欲望を捨てずにいる姿は憤怒やもどかしさを通り越して不憫でさえある。日本の領土侵略の野心を絶対に許すことはできず、日本に主張を撤回するよう強く求める。日本が反省せず歴史の歪曲を続けるならば、国際社会の孤児になるだけだ」と批判した。
ボイス・オブ・ロシアは、ロシア科学院極東研究所のキスタノフ氏の話として、「日本は近年、軍事予算の拡大を続けており、すでに480億ドルに達している。これは安倍首相の、平和事業への積極的な貢献という旗印によって促された。安倍首相はさらに、積極的な平和主義という用語まで作り出したが、これが隣国を安心させることはない。日本の集団的自衛権の行使容認は、中国のみならず、米国のもう一つの同盟国である韓国をも不安にさせている。日本の隣国のほぼすべてが、安倍首相の国防政策面のすべての行為が、日本の軍国主義を復活させるためのものと判断している。安倍首相の政策は、アジア太平洋の緊張情勢を激化させるだけだ。これは批判の声をもたらし、アジア諸国も対策を講じるだろう」と報じた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年8月6日