外国人から見れば、非常に「ニューヨーク」のようだが、中国人から見れば、発展して「ニューヨーク」になりたいと懸命になっている都市である。
シティバンク中国地区最高経営責任者のリチャード・スタンレー氏は毎日、上海の陸家嘴にある同銀行本部のオフィスへと急ぐ。
中国の財政経済関連メディアへのスタンレー氏の“暴露率”は非常に高く、外資銀行や国の金融政策に何か“風が吹き、草がたなびく”ことがあれば、メディアからの受話器が必ず時宜を逸することなくスタンレー氏の口元に伸びてくる。
だがスタンレー氏本人は、その暴露率に憧れる者がいることをまったく知らない。李小林さんもその1人。2年前に大学を卒業した後、北京から上海に仕事にきた若者だ。スタンレー氏が奮闘目標だという。
彼は用事がなければ決まって陸家嘴を歩き回る。友人が来れば、高層ビルが林立し、金融機関が軒を並べるこの一帯を案内する。彼の夢は、いつかこの高層ビルで仕事をすることだ。大学では金融管理を学び、現在、ある企業でセールスマンをしている。
「陸家嘴を見ていると、眼の前に束になったドル札が揺れ動いているようだ。マネーの誘惑を感じる」。彼に限らず、この誘惑に多くの豊かな者、貧しい者が憧れている。