首都・北京は国の金融政策決定の中心であり、金融管理、金融情報、金融サービスの中心でありながら、上海、深セン、およびここ数年来急速な発展を遂げている天津と比較して、市内における金融業発展の位置づけをこれまで明確に示してこなかった。
数年来、この位置づけの問題が北京の金融業発展を妨げる主な問題となっていた。上海は1990年代に浦東エリアを開発・開放した際に「国際金融センター建設」のスローガンを打ち出し、国務院の承認も受けている。このためあるアナリストは、北京が長年にわたり「金融センター」の話題を避けているのは、重複建設の懸念をうち消すためであると分析する。実際、上海のほかにも深セン、天津、西安などの都市が「地域金融センター建設」や「北方の重要金融センター建設」の構想を相次ぎ打ち出している。
中国社会科学院(社会科学アカデミー)城市発展・環境研究センターの牛鳳瑞主任は5日、「地域間の関係と政治的な配慮が、北京市が早くから金融センター建設を打ち出さなかった原因だ」と指摘し、「中国の社会主義市場経済のマクロ調整の中心として、北京が金融センターへと発展する流れは後戻りできない」と話す。
牛主任によると、現在、中国経済の地域的発展はアンバランスで今後の発展の余地は大きい。中国は複数の金融センターを構えて、周辺地域の経済に対して影響力をもつとともに提携関係を築くことが必要になるとみられる。国内では今後、複数の金融センターの出現が予想される。
また牛主任によると、深センは今後、香港とともに華南地域や東南アジア地域に影響力をもつ金融センターになり、上海は華東地域に影響力をもつ金融センターになることが予想される。北京は華北地域に金融面での支援を提供するとともに、国際金融機関の中国進出に際して最初の一歩を踏み出す地点になるとみられる。
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