「不公正な貿易」や「対等でない原則」を長く維持するため、欧米などの先進国は途上国と各種の貿易協定を結んでいる。これら名ばかりの「自由貿易協定」は実際、そのほとんどが「強いられた貿易協定」だ。ノーベル賞を受賞した米コロンビア大学のスティグリッツ教授は、「真の自由貿易協定は非常に簡潔なものだ。数枚の紙さえあれば、関税引下げや取り消し、非関税障壁、補助金の比率など双方が締結する内容を明確に書き出すことができる。しかし、『強いられた貿易協定』では先進国が投資分野の拡大、サービス業の開放などを中に詰め込み、投資の優遇条件や金融の自由化をいかに増やすかだけに関心を寄せているため、普通数百ページに達する。先進国の多国籍企業はこの協定を利用して、途上国の石油業界や小売業、自動車産業などをコントロールし、巨額の富みを得ている上、同時に汚染度が高く、エネルギー消費量が多い産業を自国から途上国に移転している。一方で、途上国への利益分配は最低限に抑えられ、さらに途上国は環境汚染や温室効果ガスの激増という深刻な問題を背負わされている」と指摘する。
ドーハ・ラウンドは「発展ラウンド」とも呼ばれる。途上国はこの交渉を不公正な世界貿易システムを変える重要なチャンスととらえている。しかし、これまで繰り返してきた交渉の中で、欧米をはじめとする先進国は農業補助金の削減を拒みつづけ、決して譲歩しない構えを示している。実際には昨年中旬以降、世界の食料価格が40%上昇し、先進国の農家は稼ぐのが容易になったのだから、補助金を引き下げるのが道理にかなうというものだ。また、途上国が食料の輸出を制限し始めたため、先進国は農産品の輸入関税を引き下げたが、実質的な損害は出なかった。
このまま先進国が農業補助金を大幅に削減することもなく、最終的に取り消すこともなく、新しい瓶に古い酒を入れるような真似をし、不公正な世界貿易システムを強引に維持しようとするなら、今回の交渉は結果の出ないまま終わり、ドーハ・ラウンド自体も継続が難しくなるだろう。
「人民網日本語版」2008年7月25日
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