世界貿易機関(WTO)の閣僚会合は24日、4日目に入った。ラミー事務局長は当初、「ドーハ・ラウンド(新多角的貿易交渉)に向け、闘牛士のごとく最後の一撃を与える」とこの閣僚会合に対し期待を寄せていたが、先進国と途上国の対立は依然として続いている。ブラジルやインドなどの途上国は欧州連合(EU)と米国に農業補助金の削減と農産物の関税引き下げを求めたのに対し、EUは農産物の輸入関税はすでに60%も引き下げており、最大限の譲歩をしていると反発。米国は現在年間170億米ドルの農業補助金を20億ドル削減するとけん制した。一方、欧米など先進国は「対等の原則」に照らし、途上国に工業製品の輸入関税引き下げや、金融などサービス分野の市場開放を要求している。
7年目に入ったドーハ・ラウンドがいまだに硬直化している直接の原因は、先進国が農業補助金の大幅な削減を拒み続け、不公正な世界貿易システムを生み出してきたことにある。
先進国は世界経済や金融分野における独占的な地位を利用し、世界貿易システムのルールをコントロールしている。途上国に市場開放を求める際には、聞こえのいい「公正な貿易」や「対等の原則」を並べ立てるが、途上国につきつけられた残酷な現実は「不公正な貿易」や「対等でない原則」であり、このような実例は枚挙にいとまがない。その一端を挙げると、米国はバングラディッシュ製のアパレル製品に対し、英国製の20倍以上の輸入関税をかけている。また、コートジボアールとガーナはカカオ豆の生産量が世界全体の90%を占めるものの、チョコレートの生産量は世界全体の5%にとどまっている。これは先進国がカカオ豆だけを調達し、より利潤の高いチョコレートを生産するからだ。これら途上国はチョコレートを生産する発展の可能性を閉ざされているのだ。
|