社会科学院金融研究所の李揚所長は23日、北京で開かれたフォーラム「米信用危機の新展開と経済の展望」に出席し、中国のここ数年の物価上昇は構造的なものだとの見方を明らかにした。物価に影響する長期的・短期的な要素から考えると、中国では長期的なインフレは起こらず、物価の上昇はゆるやかなものにとどまるとみられるという。「京華時報」が伝えた。
▽李所長の主な発言内容
中国には十分な備蓄があり、市場供給は需要よりも多いため、需給の量的関係からのインフレ圧力は存在しない。構造的な不均衡が一部の地域で短期的に起こり、構造的な物価上昇をもたらす可能性はあるものの、長期的なインフレの傾向はない。
中国の構造的な物価上昇を促しているのは、賃金コストの上昇と資源価格の改革だ。今後数年にわたる賃金コストの上昇は避けられず、これは物価上昇への長期的な圧力となりうる。ただ中国にはまだ余剰労働力が存在するため、賃金コストの上昇が物価に与える影響も比較的ゆるやかなものになるとみられる。
原油価格の上昇も中国にインフレ圧力をもたらしており、海外市場のインフレは国内企業のコスト上昇を促している。ただ原油価格の上昇を中心としドルの値下がりを背景とする今回の世界的なインフレもまた周期的なものだ。今年下半期から来年上半期にかけて原油価格にも変化が訪れるとみられる。原油価格の上昇傾向が転換すれば、その他の商品の価格上昇圧力も減少する見込みだ。
「人民網日本語版」2008年7月25日 |