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■企業の輸出競争力の強化
それでも、危機によって輸出企業の利益は大幅に減少する。労働集約型の中小企業は特にそうだ。企業の輸出競争力を高め、輸出拡大を後押しするため、財政部と国家税務総局は21日、11月1日より繊維製品や玩具など一部商品の輸出税還付率を適切に引き上げるとともに、抗HIV薬など高技術・高付加価値商品の輸出税還付率も引き上げると発表した。
この大規模な輸出税還付率の調整は、商業銀行の融資規模の拡大、新外国為替管理条例の施行、2度にわたる「双率」(預金準備金率と1年物の預金・貸出基準金利)の引き下げに続き管理層が打ち出した重大な調整措置だ。翌22日、財政部、人民銀行、国家税務総局は不動産取引のコストを引き下げるため、個人不動産取引に関する融資・税制の調整を発表した。
発展改革委員会投資研究所の張漢亜研究員は「最近の調整措置によって、企業への貸し渋り状況が緩和され、企業の効益が高まり、消費の伸びが維持される」と見る。国家統計局によると、第3四半期までに消費財小売総額は前年同期比6.1ポイント高い22%の伸びを見せた。張研究員は中国経済の将来に楽観的であり、「第3四半期までの27%という固定資産投資の伸びは相当高い水準だ。しかも政策決定層はすでに、投資拡大の継続を明確に表明している」と指摘する。
国信証券公司のマクロ経済アナリスト・林松立氏は「世界経済の不景気による原料価格の下落が中国経済に過剰なマイナス影響をもたらすことはない。価格下落は輸入原料を大量に必要とする中国企業のコスト削減にプラスだ」と指摘する。