世界経済に衰退の影が差している現状を受け、リマ首脳会議では保護貿易主義の放棄、自由貿易の推進継続という原則が、特に強調される見通しだ。このほか、APEC加盟国間の自由貿易協定(FTA)の交渉と締結も引き続き進められる。議長国ペルーは会期中、他のいくつかのAPEC加盟国とFTAの締結を発表、あるいはFTA交渉を行う予定との報道だ。
■新旧首脳に各々の期待
APEC首脳会議では毎年、「新人」のお披露目と「古参」のお別れがある。
今年最も注目される新顔は、ロシアのメドベージェフ大統領だ。メドベージェフ大統領はAPEC首脳会議後、ブラジル、ベネズエラ、キューバの中南米3カ国を歴訪する。ロシアは最近、ベネズエラやキューバなど中南米諸国との協力関係を積極的に推進し、エネルギー・軍事分野の交流を強化して、米国を頭とする西側諸国のロシア「封じ込め」に穴を開けようとしている。メドベージェフ大統領の今回の中南米歴訪が特に注目されるのはこのためだ。
日本の麻生太郎氏は今回初めて首相の立場でAPEC首脳会議に出席する。麻生首相の心中はおそらく「寛いで」とはいくまい。日本経済が衰退に陥ったとの知らせを首脳会議で伝えなければならないからだ。このほか、オーストラリアのラッド首相やニュージーランドのキー首相も初めて出席する。
「新人」が続々とデビューする一方、退任間近のブッシュ米大統領は気まずい立場に置かれている。ペルーの反対派と労働組合はすでに、ブッシュ大統領の訪問に抗議するデモ活動を行うと表明している。彼らは今回の世界的な金融危機をもたらしたのは米国だと考えているのだ。
「人民網日本語版」2008年11月20日
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