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金融危機における外資の動向
発信時間: 2008-12-24 | チャイナネット

北京の三里屯にあるフランスの重電メーカー・アルストム中国のCEOオフィスには落ち着かない様子で窓際を行き来するクロード氏の姿があった。中国政府の4兆元投資がアルストム社の核心業務である電力・交通にも投じられることになったのだ。

このとき、クロード氏の頭の中には傘下にある武漢ボイラー股フェン有限公司の建設投資のことがあった。「当社は今あそこ(武漢)に新工場の建設を進めており、アルストムのボイラー業務における世界的な開発・生産基地にする計画だ」。

アルストム社は50年代に中国に進出した、発電プラントや鉄道車両の分野では世界の最先端をいく多国籍企業だ。そのアルストム社がこの絶好のチャンスに照準を合わせた。

▽「危」の中に「機」を求む--中国への投資イコール希望への投資

世界的な金融危機が蔓延するにつれ、世界の投資家は自信を失い、投資決定がより慎重になっている。こうした中、中国への投資状況はどうだろうか?

商務部が先日発表した統計データによると、今年1月--11月にかけて▽全国の実行ベースの外資導入額は864億1800万ドル、前年同期比26.29%増▽全国で新たに認可された外商投資企業は2万4952社、同27.51%減--だった。その前の10カ月間に投資を削減した外資系企業は4218社、同10.8%の減少、撤退した外資系企業は3774社、同6.6%の減少だった。詳しく調べてみると、投資を削減または撤退したのはほとんどが製造業やその関連業界の規模の小さい企業で、多国籍企業は撤退するどころか、投資を増やしている。

総投資21億6800万ドル以上の外商投資事業24項目が今月4日、上海でまとめて契約された。上海市商務委員会の統計によると、上海は今年、外資導入が過去最高に達する可能性があるという。

アルストム中国のクロードCEOは、「4兆元投資によって、アルストムは将来的に中国でのチャンスがある。今後の業務拡大に備えて増資して力をつけておく必要がある」と話す。

マイクロソフトグローバルの副総裁で中国研究開発集団の張亜勤総裁も同じ考えをもつ。「経済環境が不利な時に企業の競争力をつけ、経済回復に向けた十分な準備を整え、経済蘇生による無限のチャンスをつかむ絶好の機会だ」と話す。マイクロソフトは向こう3年で中国に10億ドルを投入し開発力を高める計画だ。

在中国欧州商工会議所の行った調査で、数多くの試練に直面しているにもかかわらず、大部分の欧州企業が中国市場および中国での前途に依然として楽観的な態度を示していることがわかった。

欧州商工会議所のウダーク所長は「欧州企業からすれば、中国市場は最も重要な新興市場といえる。世界経済が衰退する状況下にありながら実際に中国市場は大いに成長する可能性がある。欧州企業は中国での経営の重点を輸出ではなく、中国市場そのものに置いている」と説明する。

米国、日本の企業も同じような見方をもつ。東芝は今月初めに北京でデジタル新作発表会を開催し、地上デジタルハイビジョンテレビ(HDTV)をはじめ、ノートパソコン、デジタルコピー機、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの新製品を発表した。東芝中国の田中孝明総代表は「東芝は中国市場により力を入れ、各事業の拡大に向けて努力する」とあいさつした。

中国の新たな建設が鉄鋼など基礎原材料、石油化学工業、重設備、電子機械などの分野への投資をけん引し、外商投資に新たなチャンスを生んでいる。同時に外資の中国における産業と分布構造にも新たな変化がおきている。製造業がなおも外商投資の主要分野だが、農林牧畜漁業の分野における実行ベースの外資導入額が増加し、サービス業でも急速な成長がみられる。外商投資企業の投資地域は一部改善され、中部と西部への投資が相対的に増加傾向にある。

危機の中にチャンスを求め、世界経済の回復後の中国市場における戦略計画を立てることが外商投資企業の共通認識となっている。

「人民網日本語版」2008年12月23日

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