世界各国が経済刺激プランをあいついで実施したのに伴い、国際経済の成長には安定化の兆しがみえてきた。だが失業問題が依然として一部の国の経済・社会の発展を制約しており、男性に比べて女性がより深刻な失業の危機にさらされている地域もある。
国際労働機関(ILO)がこのほど発表した最新の予測データによると、2009年にアジアでは女性の失業率の増加率が5.7%となり、男性の失業率の増加率4.9%を上回ることが予想される。アジア14カ国の女性関連組織約40機関をカバーするアジア女性労働者委員会(CAW)もまた、今年はアジア・太平洋地域で2700万人が失業し、その大部分を女性が占めるとの見方を示す。
ある統計によると、女性労働者の多くが世界の生産チェーンにおけるローエンド産業に集中し、正式な契約を結ばない、一時的な仕事に従事しているケースが多く、通常の社会保障の対象になっていない。世界市場では衣類、繊維製品、電子製品などへのニーズが急速に低下しており、女性は真っ先に解雇の対象になりやすい。また女性労働者の多くが輸出に関連した労働集約型の産業で働いており、国際供給チェーンに依拠して成り立つ輸出産業は経済低迷の影響を最も受けやすいといえる。ILOのエコノミストは、女性の就業者数は男性よりも少なく、女性の仕事はより不安定であり、国際金融危機がこうした格差を一層助長したと分析する。
ILOが今年3月に発表した最新の「世界の雇用情勢 女性編」によると、経済危機が世界の労働市場に与える影響は2009年に一層深刻化し、女性が最も深刻なダメージを受け、女性失業者数が大幅に増加することが予想されるという。08年の世界の就業人口は30億人に上り、うち女性が12億人だった。ILOのファン・ソマビア事務局長によると、労働分野における性別上の不平等の問題が長期にわたり世界規模で存在しており、その危険性は今回の金融危機で一層拡大したといえる。そこでILOは世界各国に対し、政策決定に際してはこの問題を十分に考慮し、両性の就業格差を解消する措置を積極的に採用するよう呼びかけている。
「人民網日本語版」2009年8月10日