世界的に貿易保護の流れが強まる中、人民元の切り上げを求める声がまた西側から聞こえてきた。対外貿易の面では、欧米各国から中国への圧力がじわじわと強まっている。「経済参考報」が伝えた。
油井管やタイヤの特別保護措置をめぐる案件が片づく間もなく、鉄鋼業界でまたもや紛争がもちあがった。今月6日、欧州連合(EU)は欧州に輸出された中国産継ぎ目なし鋼管が欧州各国の産業界に損害を与えているとして、17.7%から39.2%の反ダンピング税を課すとの最終決定を下した。その翌日、米国商務省もまた、中国産の継ぎ目なし標準型鋼管、パイプライン鋼管、圧力配管用鋼管を対象に、反ダンピング・反補助金の合同調査を行うと発表した。
商務部がまとめた統計によると、今年1ー8月、世界の17カ国・地域から中国に対して貿易救済措置としての調査計79件(前年同期比16.2%増)が発動され、金額は約100億3500万ドル(同121.2%増)に上った。ここから保護貿易主義が依然として蔓延する情況がうかがえる。世界貿易機関(WTO)の7月中旬の予測によると、2009年は世界で反ダンピング措置437件が発動され、発動件数がこれまでで最も多い年になる見込みだという。
グローバル経済が底を打って好転する兆しをみせても、保護貿易主義の風潮はやみそうにない。各種のデータや過去の経験からみて、今回の強い貿易保護の波は今後しばらく治まらないとみられる。
英国の貿易問題研究機関(GTA)がまとめた統計データによると、現在、世界では差別的な貿易法案が自由貿易法案の数を上回り、その割合は6対1に達するとみられる。各国政府が四半期ごとに打ち出す貿易保護措置は60件を数え、世界の貿易製品の90%以上がこれらの措置からなんらかの影響を被っているという。
ある専門家によると、保護貿易主義は経済が低迷し、生産が落ち込み、雇用が不足する時に盛んになる。現在、グローバル経済には好転の兆しが見られるが、経済低迷が産業や雇用に与える影響は時間が経ってから現れる傾向があり、この時間のズレは通常は1年だ。よって業界内では、これから一年後に貿易保護主義の強い波が治まり始めるとの観測が上がっている。
中国は今後長期にわたり、貿易摩擦に対抗するために備えをしっかりとする必要がある。このたびの紛争は長期間、広範囲に続くことが予想される。