2009年1-9月期の中国経済は徐々に成長を加速し、明るい見通しが立ったとして、多くの経済学者が適度な金利の引き上げを指摘しているが、一部の経済学者はインフレを防ぐため短期間は金利を引き上げるべきではないとの見方を示している。中国の経済基盤はまだ固まっておらず、投資によってけん引されている経済成長が一旦冷え込むと、多くの投資プロジェクトに差し支えるというのがその理由だ。経済参考報が伝えた。
経済学者の励以寧氏は長年経済調整に参加してきた経験から、今はまだ通貨政策を調整すべきでないとの考えを示す。中国経済にはこれまで「引き締めれば死に、緩和すれば乱れる」という悪循環があると同時に冷えに強いが熱さに弱い、ブレーキはかけやすいがエンジンはかかりにくいという特徴がある。ブレーキの主導権は政府が握っているため、すぐにかけることができるが、エンジンの主導権は民間が握っている。庶民が臆して消費せず、民間企業家が投資を望まなければ打つ手がない。今、適度な通貨緩和政策の方向に調整を行ってしまえば、すぐにこれまでのマクロ調整の成果を打ち消してしまうことになる。
1年続けてきた通貨緩和政策によって不景気に陥って以降の最も深刻な衰退を免れてきたが、もうすぐ新たなバブルとより多くの金融混乱が訪れないとも限らない。中央銀行にとっては、経済への資金投入よりも、経済から資金を抽出するほうが骨の折れる作業だ。通貨政策の進退は極めて難しく、通貨政策を引き締めれば来年経済が再び冷え込む可能性が高いし、このまま緩和政策を続ければ新たな資産価格バブルが迫ってくる。
認めざるを得ないのは、財政の固定資産投資によって経済の急速かつ大幅な反発を後押しするのは中国にとっていいことではないということだ。資産価格と資源価格の高騰が日常生活の物価と食料品の価格に波及し、庶民の基本生活に困難をもたらすことにつながる。そうなった時にどうするか?通貨政策は資産価格の動向、食料価格の動向を無視できない。
世界金融危機を前に、中国にとって最も重要な任務は成長維持、内需拡大、構造調整、民生支援だ。庶民の生活危機を前に最も重要な任務の順序を民生支援、構造調整、内需拡大、成長維持に調整する必要がある。
以上のことから来年、中国の通貨政策はやむなく引き締めるしかない。経済がやや減速するのは仕方がない。社会全体の調和と安定がどんな大事にも勝る。通貨政策が経済的政策寄りから政治的政策寄りへと移行していけば、引き締めは免れないし、必然的なことでもある。
「人民網日本語版」2009年11月25日