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「ポスト世界金融危機」のチャンスをつかむ
発信時間: 2010-01-29 | チャイナネット

世界金融危機発生時の私たちの迅速な対応は実に正しいものだった。だが現段階にいたってもなお「対応」面のみに留まっているのでは不十分だ。ポスト危機時代の戦略的チャンスを逃してはならない。(文:国務院発展研究センター対外経済部部長)

まず、この段階は世界市場におけるシェアを高める重要なチャンスだ。米国、EU、日本の3大市場における中国製品のシェアはすでに22%に達し、現在も高まっている。だが世界全体では8%に過ぎず、新興国でのシェアもまだ低い。新興国には3大市場のような成熟した流通システムがなく、低コスト生産という中国の強みを十分に発揮することができないのがその原因だ。新興国は現在、工業化を加速する過程にある。この過程は大量のインフラ整備が必要だが、中国は長年の発展によってこの面で強みがあり、相対的な競争力を備える。したがって新興国における中国の潜在力はまだ非常に大きい。私たちの海外プロジェクトの受注は30%前後のスピードで伸びている。これによって経済収益のみならず、中国製の建築設備、プラントの海外輸出も実現している。

私たちは市場の一層の多元化というこの重要なチャンスをつかまなければならない。現在、保護貿易主義が台頭傾向にある。わが国が遭遇する貿易摩擦はどんどん増えているが、まだその前奏に過ぎない。私たちの産業と米国、EU、日本という3大経済体の基幹産業が衝突した時、初めて真の貿易戦争が始まるのだ。

私たちが現在直面しているもう1つの重要な戦略的チャンスが、輸出構造のグレードアップだ。過去20年間のグローバル化の過程で、世界の産業のバリューチェーンが形成された。だが私たちは現在「スマイルカーブ」の谷の位置にあり、IT製品を売るより衣料を売る方が良いという状況さえ生じている。世界金融危機によって、私たちはバリューチェーンを遡り、国際分業における地位を高める機会を手にした。

江蘇省のある電気ドリル工場は輸出額が80%減少したが、利潤は数倍に増えた。その原因は何か。この工場は元々OEMをしていただけなのだが、発注元企業が世界金融危機の煽りで倒産した。この会社は比較的安い価格で発注元企業を買い取ることで、ブランドの利益を手にしたのだ。現在は低コストで研究部門やハイエンドの生産部門を買い取る機会があるということが、こうした例からわかる。以前ならいくらお金を積んでも売ってくれなかったものも、現在では売られている。

世界金融危機を前に、私たちにとって対応に加え、さらに重要なのは、ポスト危機時代のチャンスをつかみ、全世界における私たちの影響力を大幅に高めると同時に、相対的な国力も増強することだ。

「人民網日本語版」2010年1月29日

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