電子商取引サイトのユーザーに対する実名制度導入に再び注目が集まっている。国家的、地方的な関連政策が打ち出されれば、ネット取引の信用危機の緩和に役立つが、実質的には隠れた不安も依然として存在する。電子商取引の健全な発展に向けた、専門の管理法規が望まれている。
注目を集める電子商取引サイトの監督・管理にこのほど新たな進展があった。首都文明弁公室が明らかにしたところによると、北京市では今年、インターネット・レイティングのテスト業務が行われるほか、インターネットの実名登録制度も段階的に行われる。北京市でニュース情報と電子公告サービスを行うウェブサイトでは、全面的にサイト管理者の実名登録制度が行われるほか、一部の電子商取引サイト、ソーシャルネットワークサイトでは、ユーザー全員に対して、真実の身分情報を使った登録が実施される。
ネットを使った個人取引に存在する論争や紛糾を解決する上で、この措置の意義は大きいが、電子商取引における問題は、法律・法規、業界、市場、個人的道徳などさまざまな要素に関連するため、監督・管理の「空洞」が打開されないかぎり、電子商取引の経営者と消費者の間には、依然として法が及ばず、管理できないスペースが存在することになる。さらに、実名制度から個人情報の漏洩なども心配され、状況の打開にはまだ時間が必要だ。
実名制度は、インターネット管理発展の必然的な結果だ。ネット上の行為が現実社会に与える影響がますます大きくなりつつある今日、実名制度を取り入れることは、ごく自然な措置と言える。
しかし、実名制度は基礎的な措置にすぎない。何といってもネットは現実の社会とは違う性質がある。実名制度をしっかりと行うためには、まず実名制度の基礎をしっかりと打ち立てなければいけない。つまり、ネットワーク管理関連の法律法規と監督・管理システムの組織および、機能を打ち立てることだ。
中国のネットワーク管理は現在、「一体誰が管理するのか?何を管理するのか?どのように管理するのか?」というあいまいな状態となっており、現在立法が最も待ち望まれている。ネットワークが急速に発展する中で、立法上の「空洞」が数多く浮かび上がっている。また、電子商取引に関する法規も完備されているとは言いがたく、信用評価においても多くの空洞がある。例えば店の評価システムをどのように完備するかも一つの問題だ。これは業界自体の自律、もしくは行政的な監督・管理で解決できることでもなければ、実名制度で解決できる問題でもない。
消費者にとって最も気になるのは、ネット取引が実体経済と同じように保障されるのかどうか、紛糾が起こったとき誰が決定権を持つのか、誰が管轄するのかだ。「ネットワーク工商局」が誕生し、電子商取引法がいち早く誕生することが多くの人の望むところだろう。「通信信息報」が1月29日に伝えた。
「人民網日本語版」2010年2月1日