「歴史的旧跡として世界に名が通るギリシャは早晩破綻し、財政の廃墟となるだろう」とは英国『デイリーテレグラフ』の寸評である。欧州中を巻き込んだギリシャの財政危機のなか、ギリシャ人は「世界で最も浪費癖のひどい人々」という烙印を押された。それでも、ユーロ圏国家はその尻拭いをしなくてはならない。この一件について経済学者は、危機の元凶はギリシャ政府であって、自身の収入を超えて借り入れを続け、国民に充実した福利を提供したことであると考えている。またアメリカのマスコミは、ギリシャは億万長者のように浪費しているが、実際は百万長者にも及ばず、一介の兵士の給料で国王級の生活を送っているようなものだと皮肉をこめて伝えている。パパンドレウが一国の首相として西方諸国を駆け回り、頭を下げて援助金をお願いしている一方で、ギリシャという人類文明の発祥地が「放蕩の発祥地」と咎められている――、この状況は歴史ある国の悲しい死と言えないだろうか。いまギリシャ人は遠ざかった幸福を嘆き、「神話の終結」を素直に認めざるをえない。そして政府は始まったばかりの借金返済という悪夢に立ち向かうことになる。この種の社会不安は今後数年、背後霊のようにあらゆる局面に顔を出してくることだろう。
『欧州中から断罪される「ギリシャ式生活」』
ギリシャの財政危機を考えるとき、思い出されるのは当国の哲学的小話である。砂浜で日光浴をしている漁師を見かけた富豪がひと言、「こんな絶好の日和に、なぜ漁をしないのだ?」と叱責する。漁師は「魚をそんなにたくさん捕ってどうする?」と返す。「金を稼ぐのさ」と富豪。「大金を稼いでどうする?」。「金があったら、ほら俺みたいに悠々自適の生活ができる。こうやってのんびりと砂浜を散歩することもな」。漁師は笑う、「俺は今、その楽しみを享受しているのさ」。今となっては、この小話を聞いてギリシャ人の思弁に感心する人はおらず、享楽に耽る生活様式に白い目を向けることだろう。観光業と農業に頼るこの国の人は、裕福になりたいという願望は持たず、生活できるだけの金を銀行から借りられさえすれば良いという考えのようである。そして放蕩生活がもたらした負債は、雪だるま式に膨れあがった。
ギリシャ支援計画において負担の最も大きなユーロ圏国家はドイツである。ドイツの『ビルト』は3日、「経済破綻したギリシャはユーロ圏から退場すべきだと思いますか?」という世論調査を行った。結果、89%の国民が「そう思う。ギリシャは自分の行動の責任を取るべきだ」と考えていた。『ウォールストリート・ジャーナル』によると、去年のギリシャ財政赤字はGDPの13%にのぼり、ユーロ圏が定めた3%の上限を大幅に超えている。負債額もGDPの113%と、60%の上限を上回る。「世界で最も浪費癖のひどい人々」とギリシャ人をなじった英国の『フィナンシャル・タイムズ』は、純貯蓄率がGDPのわずか7%であり、国債の70%が外国人所有であることを挙げ、「国家を挙げて遊びほうけたことの当然の報いだ」と断じている。
20年前にギリシャで生活していたロンドン人のクリストファー・ハフラスは4月29日、英国の『デイリー・メール』に寄稿し、「惨禍の国家」で目撃した様々な事実を記事にしている。ギリシャ人は数十年にわたって節制と無縁の生活を送り、想像を絶するほどの過剰消費と過剰負債の中で暮らしていると彼は記している。国家管弦楽団に所属する彼の旧友ジョンは、一年の産休と一年の年休があり、演奏がどんなにお粗末でも解雇されることはないという。また友人の裕福な弁護士は、長年にわたって父親の年金を受け取っている。公務員には全く出勤せず、他の仕事をしている者もいる。それでいて国からの給料を受け取っているのだ。クリストファーの義父は老年年金がかつての給料よりも多い。こういった状況に、米国のbeforeitsnewsは4月30日、「億万長者のように浪費しているが、実際は百万長者にも及ばない」と風刺し、ユーロ圏からギリシャを追い出して、仕事をしない放浪生活を終わらせるべきだと主張している。(続く)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年5月10日