中国人民銀行(中央銀行)が人民元為替相場形成メカニズム改革の推進を発表後、人民元の対ドルレートは上昇し、それに伴い他のアジア通貨も上昇傾向にある。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。
国内のアナリストは、人民元と他のアジア通貨の上昇はアジア経済の持続的回復に対し、市場が自信を強めているためだと指摘する一方で、各経済体はそれぞれの貿易構造、収支バランス、インフレ状況をみながら為替相場政策を調整するため、将来、人民元の為替相場に二重の波が押し寄せるとの懸念を示す。経済・貿易関係がより緊密になっている今日、中国の為替相場改革はアジアの隣国により多くのチャンスをもたらす一方で、各方面が協力して資産バブルの発生予防に取り組まなければならない。
▽アジア通貨は元高に追従しない
05年に人民元が切り上がると、韓国のウォン、シンガポールドル、タイのバーツなどアジア通貨も上昇した。この歴史が繰り返されるとモルガン・スタンレーなどは指摘するが、香港紙「苹果日報」は、当時と状況はやや異なるとし、05年は相対的にユーロが強かったが、当時のユーロ制度は穴だらけだった。このため今回の人民元の値上げは05年のように安定しつつも速いペースにはならないだろうと説明する。また、05当時の中国の対外貿易相手は米国が中心だったが、今では中国最大の貿易相手は欧州連合、米国、アセアンの順になっている。このため他のアジア通貨の為替レートも人民元にとっては今後益々重要性を増してくる。
今回の為替相場改革によって、人民元の対ドルレートは上昇傾向にあるが、これは主に人民元の値上げに対する予測が長引いたためで、人民元の勢いがある程度のところまでいくと、人民元の為替相場には二重の波が押し寄せてくると予想される。
▽アジアの他の経済体に有利
人民元が切り上がれば中国国内の住民の消費力が上がるため、アジアの一部の経済国にまず恩恵がもたらされる。その理由は、中国の東アジアや東南アジアからの輸入量は輸出量より多いためだ。
アジア諸国にとって有利なのは、人民元為替改革の風に乗って時刻の通貨政策を調整しインフレを抑制できることだ。米「ウォールストリートジャーナル」は、「アジア全体において、中国は輸出業の最大の競争相手だが、中国が米ドルをにらんだ人民元政策を続ける限り、アジア諸国は本国通貨を抑制するほかない。そうしなければ競争力を失ってしまう。中国の為替改革は最終的には、これらの国が通貨政策を操作する際の一息つく間になる」と報じた。
「人民網日本語版」2010年6月24日