林国本
北京オリンピック前後に、日本のかなりの新聞ではポスト・オリンピックにおける中国経済の腰折れの可能性について書いていた。過去における他国のケースからみてそう分析しているわけだが、かなりキャリアのあるエコノミストの分析であるので、一応そういう見方もあるのだなと思っていた。しかし、中国経済のファンダメンタルズ、中国経済のパフォーマンスを見ていると、そうとも限らないだろう、という希望的観測をもしていた。
北京オリンピックは大成功であったが、あにはからんや、リーマンショックという大津波が急きょ押し寄せてきて、中国沿海部の輸出志向型企業は大きな打撃をこうむり、その前には四川汶川の大地震もあったので、これはひどいことになるのではないかと内心一抹の不安を抱いていたことも確かだ。しかし、テレビで国家発展改革委傘下の雑誌の主筆格のコメンテーターが、いとも冷静に、震災地が中国のGDPに占めるパーセンテージそのものはそれほど大きくないし、また、改革、開放30年らいの総合的国力の増強をみると、このダブル・パンチは、屋台骨を揺るがすにはいたらない、と語っているので、広い視野で国全体の経済を見ている人間の判断は正しいかも知れない、と思っていた。
その間の北京の雰囲気からも閉塞感らしきものは全然感じ取れなかったので、一応強気の見方の方に傾いていた。