◆企業の為替取引コストを軽減
現在、人民元の他の通貨との取引方法はいずれも米ドルをマーケットメーカーとし、米ドルを介して行っている。為替レート基準値の決定方法も当日の人民元対米ドル為替相場の基準値及び米ドル対該当通貨との為替相場の基準値によるクロスレートで算出している。
日本円と人民元の直接取引のメカニズムが確定していないために、企業の決済は「日本円対米ドル」「米ドル対人民元」の相場で算出したクロスレートである。しかし、米ドル為替相場の変動によって生じる為替差損によるリスクは極めて大きく、また両替手数料も割高である。多くの企業がこのために、高い両替費用を支払っている。
興業証券ソフトウェア業アナリストの張英娟氏は中国証券報の取材の対し、「人民元と日本円の直接取引は、ソフトウェア企業の為替取引コストの軽減につながり、日本向け業務は更なる発展と強化を成し遂げることができるだろう。業績にとってプラスの影響となる」と述べた。
しかし、両国の取引の過程では、通貨の選択はやはり企業自身の意向によるものである。業界の専門家は、「米ドルは国際通貨システムにおいて主導権を握っており、短期間で変えることは難しい。人民元と日本円の直接取引の開始後、中日双方の企業が日本円、人民元での決済を望むかどうかを見守る必要もある」と指摘した。
「中国証券報」より 2012年5月30日