中国のネット大手・騰訊(テンセント)の馬化騰最高経営責任者(CEO)はこのほど、「テンセントは今は国内で多くの利用者と高い知名度を獲得しているが、海外ではほとんどの人に知られていない」と率直に述べた。「人民日報」海外版が伝えた。
テンセントが提供する無料メッセンジャーアプリ「微信」は国内での利用者4億人を抱えるようになると、国際化戦略を鳴り物入りでうち出したにもかかわらず、海外での利用者は5千万人にとどまり、戦略は思うように進展していない。
日本を例に取ると、微信の海外版「WeChat」の利用者のほとんどが中国人だ。ある報道によれば、日本で働く中国人を対象に調査したところ、WeChatは日本に適応していないという結論になった。たとえば、日本人は「検索」を通じてやってきた「友達」を非常に警戒するため、中国国内の微信にある「周囲にいる利用者を表示する機能」に似た「Look around機能」は評判が悪い。日本人にはインスタントメッセンジャー「QQ」を利用した経験がなく、QQから移植された絵文字に奇妙なものを感じる。またWeChatにはゲーム機能がなく、ゲーム産業が盛んな日本では隅に追いやられることになる、という。
韓国にはKakao Talkがあり、日本にはLINEがあり、微信は東南アジア市場に力を注ぐが、ライバルは手強い。微信国際化のカギは欧米市場に進出できるかどうか、特に米国市場に進出できるかどうかだ。だが米国で一定のシェアを確保するのは、より難しいようだ。
米国は世界のインターネット科学技術イノベーション発祥の地であり、WhatApp、Facebook Messengerといった十分に成熟した商品がある。とりわけ利用者が10億人を超えたFacebookを前にして、微信はその先進的な商品をどのように認知してもらえばいいだろうか。商品の機能面での新鮮な魅力をどうやって米国市場に伝えたらいいだろうか。微信は国内ではQQの膨大な利用者という後ろ盾があるが、米国にはもちろん後ろ盾はなく、「入口」をどうするかが喫緊の課題になっている。