「クラウド時代」の到来により、大型データセンターとスパコンセンターが世界の注目を浴びている。しかし熱放散(冷却)という技術のボトルネックが、その発展を制限している。中国科学院電工研究所が28日に明らかにした情報によると、同研究所は4年余りの研究を経て、蒸発冷却技術をスパコン設備に使用し、3台の試作機と1台の実用化製品の製造を完了した。月末にはシステムのテストを完了し、中国科学院ネットワークセンターに移される予定だ。研究者はまた、液浸・表面実装の自動循環蒸発冷却サーバーと個人用のパソコンへの応用を実現し、冷却システムそのものを省エネ・騒音低減、さらには電力消費ゼロ・騒音ゼロの基準に到達させた。科技日報が伝えた。
同研究所の研究員である阮琳氏は、「大型スパコンの冷却に必要なエネルギーは、小型発電所の発電量に相当し、稼働により使用される電気料金は驚くほど高額だ。当研究所が設計した冷却システムがあれば、一部もしくはすべてのファン・精密空調機を取り除くことができる。1台目の製品の実測結果を見ると、蒸発冷却技術をスパコンに使用することで、PUE値(データセンターの電機効率を示す指標)を1.3以内に抑えることができ、世界最良の技術を持つ冷却システムと比べ40%以上のエネルギーを節約できる」と説明した。
実際には、これは蒸発冷却技術が切り開いた新たな応用方法の一つに過ぎない。同研究所は1958年より発電機の蒸発冷却技術の研究に取り組んでおり、多くの水力発電所で使用してきた。蒸発冷却技術は熱互変転移に基づく新型冷却技術で、絶縁性の高い液体冷却媒質の蒸発潜熱を利用し熱を吸収・伝導し、発電機の発熱部品を直接冷却することで、迅速かつ効率の高い冷却を実現する。同技術には高い安全性・信頼性、均一な温度、材料節約などの特長がある。
阮氏は、「蒸発冷却技術は一般的な技術であり、研究を進めることで新エネルギーの送電、揚水式貯水池、都市部の送電網構築に幅広く応用できる」と指摘した。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年11月30日