(2)貿易の強みの転換がまだ完了していない
近年、人件費や土地などのコストが上昇し続け、中国の伝統的な輸出の強みがやや弱まっている。一方、新たな強みがいまだ形成されていないため、一部の輸出受注や産業が周辺の新興国などに流出・移転している。ここ数年、中国の新興産業・新型ビジネスモデルの輸出は急速に発展し、大型設備一式など資本財の輸出が平均を上回っているが、先進国と比べればその競争力にはまだ格差があり、伝統的に強みを持っていた製品の輸出低迷の影響を短期的に埋め合わせるのは難しい。
(3)貿易摩擦の影響がより顕著に
世界的な工業生産能力の過剰、国際貿易の大幅な減少、シェア争いの熾烈化といった影響を受け、一部の国は貿易制限措置を講じて国内産業を保護しようとし、世界的な保護貿易主義が強まっており、中国の対外貿易が直面する外部政策環境は厳しいものとなっている。第1四半期、中国の輸出製品を対象に行われた貿易救済調査は37件と、前年同期比55.6%増となった。特に鉄鋼業界は多くの調査の対象となり、輸出情勢は深刻化している。