「米国観光業界は対中貿易戦争がもたらした中国人観光客減少という『痛み』の緩和に取り組んでいる」。AP通信は28日、今年上半期の訪米中国人観光客が約4%減少し、2018年も約6%減だったため、米国の旅行会社が必死に損失を埋めようしていると伝えた。
AP通信によると、日に日に拡大する中国の中間所得層は、米国の観光業に収益をもたらす大きな市場となっている。昨年の訪米中国人観光客は延べ300万人近くに上り、1人当たり消費額は約6700米ドルと、国際観光客の平均を50%超上回った。
しかし、中米経済貿易摩擦と米国政府による中国人に対する米国渡航ビザ審査厳格化などが影響し、中国人観光客が減少している。2018年度の中国人に対する訪米観光ビザ発行拒否率は17%で、2013年の8.5%に比べ2倍となった。米旅行会社の一部は、中国人観光客が米トランプ政権に歓迎されていないと感じてしまうことを懸念。「貿易戦争は中国人が訪米旅行を熟考させるするような環境を醸成しつつある」と米ジョージ・ワシントン大学ホテルマネジメント教授のラリー・ユー氏は説明している。
ハワイ空港で免税店を経営するDFSハワイは従業員の4分の1を削減する計画で、中国やその他アジア地区からの観光客減少をその理由に挙げている。今年8月時点で中国からハワイを訪れた観光客の延べ人数は、前年同期に比べ27%の大幅減となった。「この流れが短期間で逆転する兆しはみられない」とDFSグループの従業員は話している。
一方、米国のライバルとなる他国の観光業界は利益を得ている。欧州旅行委員会によると、欧州が昨年受け入れた中国人観光客は延べ1400万人に上った。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年10月29日