今月7日に開かれた第13期全国人民代表大会(全人代)第4回会議青海代表団審議で、同省海東市から出席した互助土(トゥ)族自治県の阿生青代表が発言した後、習近平総書記は関心を示し、「村民たちが使っている電気式オンドルとは、どんな暖房設備なのか?」と問いかけた。人民網が報じた。
数年前の視察で、習総書記が雨が降ってぬかるんだ道を歩いて班彦新村に行った時は、まだ電気式オンドルはなかった。
阿生青代表は習総書記に、「とても経済的。一晩で使う電気の量は1000ワットで、数角(1角は約1.68円)程度」と、班彦村の電気式オンドルを紹介した。
班彦村の電気式オンドルは、元々あったオンドルの表面にカーボンファイバー加熱プレートを設置している。スイッチを入れると暖かくなり、コントローラーで温度を調整し、安定した温度を保つことができる。電気式オンドルは、オンドルと電気敷布のメリットを兼ね備え、クリーンに暖を取り、その上、心地よく眠ることができるという。
班彦新村の村民の家で電気式オンドルの電気使用状況をチェックする電力会社のスタッフ(撮影・李永鵬)。
電気式オンドルは10時間使っても、使用する電気量がわずか1200ワットである点は注目に値する。180日間にわたり暖を取る必要がある青海省の状況から算出した場合、一冬にかかる暖房費用は100元ちょっとだ。
青海省海東市互助トゥ族自治県の班彦村の貧困率は、一時期は56%にまで達していた。しかし、2016年に、青海省は同村を貧困脱却のための移転計画に盛り込み、村民らは新村に転居した。
以前の村では、村民は日中には日当たりの良い場所で日向ぼっこをし、夜になるとオンドルで暖を取っていた。ただ、火が強すぎると、オンドルの上の毛布が燃えて穴が開いてしまったり、火が弱すぎると、夜中には火が消えて寒くなってしまうという状況だった。さらにオンドルの質が悪かったり、施工に問題があったりすると、一酸化炭素中毒になる危険性すらあった。
そしてオンドルの燃料として使用する牛糞や藁にも問題があった。冬になると、村中に煙が充満し、家の壁は真っ黒に汚れてしまう。
2018年1月、班彦新村は、オンドルを電気式に改造するプロジェクトを実施。各世帯に6平方メートルの電気式オンドル2つを設置した。ここ数年、電気式オンドルは、村民の間で好評を博している。例えば、白瑪卓嘎さんは、「電気式オンドルは衛生的で、便利。温度を調整すれば、一晩中ポカポカな状態で眠ることができる。煙臭さも減ったし、村の空気もきれいになった。電気式オンドルで体も、心もポカポカになっている」と話す。
班彦新村(撮影・唐宋)。
電気式オンドルは、「新村の建設に当たり、生産も考慮し、持続可能な発展を実現している」縮図の一つと言えよう。
200万元を投じて、酒造工場を作り、地酒ブランドの構築に取り組み、農家が産業を通して発展できるようにしている。また、450万元を投じて、「班彦生態農場」やエコな日光ビニールハウス5棟、150メートルのリフト、ジャングル体験、研学拠点、約6.6ヘクタールの花畑を建設し、レクリエーション・観光、花・果物収穫、販売産業チェーンを形成している。
民族の特色ある10産業の牽引の下、班彦村の2017年の住民の1人あたり可処分所得は7309元に達し、貧困を脱却した。村の全体所得は2019年に23万元に達した。
今年の全国貧困脱却の難関攻略表彰大会で、班彦新村は、「全国貧困脱却の難関攻略のモデル」という栄誉称号を授与され、青海省海東市貧困脱却の難関攻略の成功ケース、農村振興のモデルケースとなった。(編集KN)
全国貧困脱却の難関攻略表彰大会は今年2月25日、北京の人民大会堂で開催。習総書記が、「全国貧困脱却の難関攻略のモデル」という栄誉称号を、青海省海東市互助トゥ族自治県五十鎮班彦村に授与した(撮影・李学仁)。
「人民網日本語版」2021年3月12日