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japanese.china.org.cn |19. 05. 2021

世界の二酸化炭素排出構造と中国の課題

タグ: 二酸化炭素
中国網日本語版  |  2021-05-19


 (4)GDP当たりエネルギー消費量(エネルギー効率)の増減


 2000年から2019年の間に、世界のCO2排出量上位30カ国・地域は、イラン、サウジアラビア、ブラジル、タイ、ベトナム、アラブ首長国連邦を除き、GDP当たりエネルギー消費量が減少した。中でも、中国、ロシア、イギリス、ポーランドが4割、アメリカ、日本、ドイツ、韓国、フランス、中国台湾地区、カザフスタンが3割、インド、インドネシア、カナダ、南アフリカ、オーストラリア、イタリア、スペイン、マレーシアが2割、メキシコ、トルコ、シンガポール、エジプト、パキスタンは1割、GDP当たりエネルギー消費量を減少させた。


 このように、大半の国では、技術進歩、設備投資、エネルギーミックスの高度化により、エネルギー効率が向上している。その結果、世界のGDP当たりエネルギー消費量は、2000年から2019年の間に2割も大幅に減少した。もちろん、アメリカの制裁により経済状況が悪化したイランや、急速な工業化によりエネルギー効率が悪化したベトナムなど、例外はある。GDP当たりエネルギー消費量は、イランでは5割、ベトナムでは6割増加した。


 (5)GDP当たりCO2排出量(炭素強度)の増減


 2000年から2019年の間に、世界のCO2排出量上位30カ国・地域は、イラン、サウジアラビア、ベトナム、アラブ首長国連邦を除き、実質GDP当たりCO2排出量は減少している。中でも、実質GDP当たりCO2排出量を5割削減したイギリスとポーランドは、炭素強度の減少幅が最も大きい。また、中国は炭素強度を4割と大幅に削減した。同様に、アメリカ、ロシア、ドイツ、フランス、中国台湾地区も、4割の炭素強度削減を実現させた。韓国、カナダ、オーストラリア、イタリア、スペイン、カザフスタンは3割減、インド、日本、南アフリカ、トルコ、マレーシア、シンガポール、エジプトは2割減、インドネシア、メキシコ、タイ、パキスタンは1割減となった。


 しかし炭素強度が増加した国は4カ国ある。サウジアラビアとアラブ首長国連邦は1割、イランは4割、ベトナムは8割、実質GDP当たりCO2排出量が増加した。


 主要なCO2排出国の炭素強度が大幅に低下した結果、2000年から2019年の間に、世界の実質GDP当たりCO2排出量は18.1%減少した。


 中国は炭素強度を下げる努力で大きな成果を上げており、現在の炭素強度はインドの76.1%、ロシアの64.9%、ベトナムの60.3%である。しかし、先進国と比較すると未だ大きな隔たりがあり、現在、中国の炭素強度は、アメリカと日本の水準の2.8倍、ドイツの3.6倍、イギリスの5.5倍、フランスの6倍となっている。そのため、第14次5カ年計画では、「GDP当たりCO2排出量の抑制に重点を置き、それを補完する形で二酸化炭素排出総量の抑制を行う」としている。いかにして炭素強度を急速に低減させ、低炭素発展モデルを実現させるかが、極めて大きな挑戦である。


 5.CO2排出量上位30カ国・地域におけるCO2排出量のピークアウト分析

  

 本レポートでは、CO2排出量ピークアウトの分析において、単年度の異常値による混乱を避けるため、「移動平均」の概念を導入し、「移動平均線」によるCO2排出量のピークアウト分析を行っている。移動平均とは、一定期間のデータを平均化し、その平均値を時間軸で結んだ移動平均線によってトレンドを分析する手法である。


 本稿では、5年間の移動平均値を算出し、1980年から2019年の間で、各国の一人当たりCO2とCO2排出量という2つの主要指標を分析する。これにより変曲点やトレンドをより正確に判断し、CO2排出量や省エネ・CO2排出削減における各国のパフォーマンスを評価する。


 (1)一人当たりCO2排出量のピークアウト分析


 一人当たりCO2排出量の移動平均線の分析から、CO2排出量上位30カ国・地域のうち、アメリカ、ロシア、日本、ドイツ、サウジアラビア、カナダ、南アフリカ、メキシコ、ブラジル、オーストラリア、イギリス、イタリア、ポーランド、フランス、スペイン、マレーシア、エジプトなど17カ国がすでにピークアウトし、一人当たりCO2排出量が継続的に減少する傾向にある。


 しかし、中国、インド、イラン、韓国、インドネシア、トルコ、タイ、ベトナム、アラブ首長国連邦、中国台湾地区、カザフスタン、シンガポール、パキスタンなどの13カ国・地域では、一人当たりCO2排出量がまだ増加傾向にある。


 世界全体で見ると、一人当たりCO2排出量は2011年にピークを迎え、その後は減少傾向にある。世界の一人当たりCO2排出量が減少しているのは、第一に、先進国での排出削減努力が功を奏していることによる。


 2000年から2019年の間に、イギリスは一人当たりCO2排出量を4割、アメリカ、イタリア、フランス、アラブ首長国連邦は3割、ドイツとスペインは2割、日本、カナダ、オーストラリアは1割削減した。主要先進国では、省エネ・CO2排出削減に目覚ましい成果を上げている。

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