世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)2023が16日、スイスのダボスで開幕した。年次総会のテーマは「分断された世界における協力」。ダボス会議は新型コロナウイルスのパンデミックが発生してから3年後に、初めて通常の時期及び場所で、オフラインで開催される。過去最多の52人の元国家元首及び政府首脳が出席。
世界経済が直面する複数のリスク
3年前と比べ、世界には大きな変化が生じた。新型コロナは世界経済に大きな衝撃を及ぼした。米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを続け、米国及び欧州が数十年ぶりの物価高を迎え、経済成長が停滞に陥っている。またロシアとウクライナの衝突の激化、地経学的な二極化、エネルギーと食糧の不足、気候の危機などの世界的な問題が続出し、世界経済の成長の先行きに影響が及んでいる。
「分裂に歯止めをかけるのは今だ」ダボス会議の主催者は、世界は複雑に絡み合うさまざまな挑戦に直面しており、二極化の流れが懸念されていると述べた。世界の協力水準は近年持続的に低下しているが、新型コロナとロシア・ウクライナの衝突の二重の影響がそれをさらにエスカレートさせている。国際通貨基金が15日に発表した最新の報告書によると、数十年の世界経済一体化を経た現在の分散化の傾向により、世界のGDPが7%も減少する可能性があるという。また技術のデカップリングが、貿易規制がもたらす損失を大幅に拡大する。世界経済フォーラムは今年の年次総会に先立ち発表した「グローバルリスク報告書2023年版」の中で、衝突と地政学的な食い違いがすでに一連の深く関連し合う世界的なリスクを引き起こしていると指摘した。今後2年に渡りエネルギーと食糧の不足が持続的に世界を苦しめ、生活費と債務返済コストが急激に増加するという。
対外経済貿易大学BRICS研究センターの藍慶新主任は16日、「環球時報」に対して、今年の世界経済は次の3つのリスクに直面すると述べた。(1)FRBの持続的な利上げが世界的な金融市場の混乱を引き起こし、金融危機のリスクが拡大する。FRBは利上げのペースを落とすと見られるが、物価高を受け5%前後まで上げる可能性もある。(2)世界経済のスタグフレーションが日増しに顕著になっている。各国の金融引締は物価高の問題を解消できず、むしろ経済停滞を激化させる。(3)ユーロ圏の債務危機が再び生じる恐れがある。ユーロ圏の政府債務の対GDP比は100%に近づいており、60%の警戒ラインを大幅に上回っている。ギリシャ、ポルトガル、イタリアなどの国が特に深刻で、2010年の欧州債務危機の水準に達するかそれを上回っている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年1月17日