電気自動車(EV)のバッテリーを製造できる国は数十年の経済及び地政学的な強みを握れる。これはこの時代における決定的な競争の一つだ。西側も巨額の資金を投じているが、希少鉱物の採掘、技術者の育成、大型工場の建設のいずれの面でも中国が大きくリードしている。その他の国が追いつくには数十年かかるかもしれない。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が伝えた。
EVバッテリーに使われる希少鉱物はガソリン車の約6倍。バッテリー製造に必要な成分を含む鉱物の埋蔵量も非常に限られているが、中国は投資により割安で安定的な鉱物供給を確保している。中国は世界の41%のコバルト採掘量と大半のリチウム採掘量を支配している。
誰が採掘しようとも、大量の鉱物が中国に運ばれ、バッテリークラスの材料に精錬される。精錬には大量のエネルギーが必要だ。中国企業は他国の同業者よりも割安な土地とエネルギーの支援を受け、これらの鉱物をより大規模かつより低コストで精錬できる。今や米国の加工能力は微々たるものだ。一部の精錬所の建設には通常2−5年かかり、作業員の育成と設備の調整にはより長い時間がかかる。オーストラリア初のリチウム精錬所は2016年に批准を受けたが、昨年になりようやくバッテリークラスのリチウムの生産を開始した。
中国が最大のバッテリー製造国になれたのは、より低コストで高効率なバッテリー部品生産方法を見つけたからだ。寧徳時代やBYDなどの中国企業はすでに世界最大のバッテリーメーカーになっている。バイデン政権は現在、類似する戦略により米国国内でのバッテリー生産を促している。しかしこれは巨額の資本が必要であるにも関わらず薄利な業界であり、中国企業がすでに先を走り有利な立場を占めている。
専門家によると、バッテリーサプライチェーンの自給自足を達成できる国は他にほぼない。同業界に参入するか拡張する場合、世界のどの国の企業であっても中国メーカーとパートナーシップを結ぼうとする。米国戦略国際問題研究所のスコット・ケネディ上級コンサルタントは、「中国と直接的もしくは間接的に事業提携しなければ、EV業界で成功を手にすることはできない」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年5月18日