四川省成都市錦江区中道街にある食料品の市場では、毎日午後になると多くの人が行き交い、この市場にある小さなカフェも書き入れ時を迎える。店舗面積が20平方メートルにも満たないこのカフェは、家きん類や魚を売る店や、さまざまな食料品の店と軒を並べている。その独特の雰囲気に引き寄せられて、大勢の若者がここを訪れる。
これまでは、食料品市場の消費の中心は中高年層というのが常識だった。しかし、今年に入ってSNSプラットフォームで人気が出ると、食料品の市場は徐々に中国の若者に人気のスポットになり、微博(ウェイボー)では関連する投稿の閲覧数がすでに延べ2900万人を超えている。同時に、「市場の中の飲食店」が数多く登場し、市場は少しずつ企業が「一攫千金」を目指す争いの地になってきた。
市場のカフェで何度もコーヒーを飲んだことがあるという市民の艾義傑さんは、「このカフェは優雅さと庶民的なムードが融合している。最初に来た時は独特の雰囲気を味わってみたかったからだが、それから徐々に斬新なスタイルに引かれていった。このカフェのような店はリラックスできるし、若い人ならすぐ気に入るだろう」と話した。
カフェだけでなく、焼き肉、日本料理、火鍋などの企業も、多くの人が買い物にやって来るという市場の特性に気づき、次々に市場に店を出している。今年6月には、重慶市の市場にオープンした焼き肉店が大きな話題を集めた。8月には、江蘇省常州市の焼き肉店が農産物の市場に店を出し、親しみやすくて懐かしい市場の雰囲気に引き寄せられて大勢の客が来店した。このように、これまでは食料品を扱うだけだった市場に新たな消費シーンが誕生している。
市場に出店する飲食店が増えつつある新たなシーンについて、成都餐飲同業公会の袁小然・執行会長は「コミュニティでの暮らしがますます便利になり、消費者の飲食ニーズが日に日に多様化するにつれ、市場を訪れることは、若者にとってコストパフォーマンスや新鮮な食材、地元に密着したライフスタイルへの追求を表現する新たな形になった」と指摘している。(編集KS)
「人民網日本語版」2023年12月26日