電気自動車(EV)市場において、中国はドイツや日本などの伝統的な自動車強国をリードしている。国際エネルギー機関の報告によると、世界の道路を走行するEVの過半数が中国にある。中国はどのようにしてここまでたどり着いたのだろうか。以下に中国EV業界の成長に関する3つのキーポイントを挙げる。米誌「ハーバード・ビジネス・レビュー」が伝えた。
(一)隣接業界での実験。中国EV業界のスタートは米国より遅れた。両国は企業と消費者を刺激する類似する制度を打ち出したが、中国企業は当初それに直接参加していなかった。テスラのイーロン・マスクCEOはメディアを利用し、テスラをEVの先駆者として位置づけた。中国自動車メーカーは類似する鳴り物入りの宣伝でEV業界に直接進出せず、隣接業界に専念することでEV開発を開始した。例えばBYDは十数年前にバッテリー技術でブレイクスルーを達成した。同社はさらにEV路線バスを北米市場進出の入門製品とした。
(二)運営ソリューションの策定を奨励。中国の早期イノベーターはEVが運営にもたらす挑戦に気づき、現地企業と協力しソリューションを模索した。例えば中国のEVメーカーとタクシー業者は北京市や西安市などの大都市で緊密に提携し、運営プランを立てた。EVメーカーは充電スタンドの位置を決めるだけでなく、各種バッテリーの充電時間のテストを行い、新エネ車の性能レベルとマッチさせることが重要だ。中国のタクシー業者は通常、朝と夜を担当する2班体制だ。朝の班は夜8時以降に充電を行い、重工業の電力消費の時間帯を回避する。夜の班は午前2、3時頃に充電する。これも都市の電力消費量が少ない時間帯だ。
(三)コア技術への巨額の投資。中国自動車メーカーは2002年の段階で、バッテリーのコストがEV全体の3-4割を占めると見積もっていた。これは後発者がバッテリー技術の研究開発に専念することで競合他社を追い抜くチャンスがあることを意味する。都合が良いことに、中国EV業界は多くの重要原材料の生産地に近い。例えば中国は2022年の世界の希土類生産量の7割を占めた。希土類はバッテリー生産の中核材料の一つだ。
EV製造能力を強化するため、中国企業はさらにその他の自動車メーカーやテック企業と広く事業提携している。例えばBYDはベンツやトヨタと提携し、吉利は豪州の自動変速機メーカーを買収した。これらの提携と買収により、中国自動車メーカーはEV周辺の部品開発と発売のペースを上げた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年1月5日