英デイリー・テレグラフは1月13日、「米航空機大手ボーイングの事故で中国民間航空機の飛躍への雄志が明確に　ボーイングのカルフーンCEOは嵐の沈静化に必死：737旅客機のドア脱落事故で」と題した記事を掲載した。しかし、カルフーン氏が一時的に状況を安定させることができたとしても、別の脅威が迫っている。ボーイングの今回の事故は、中国に「空を制する」ための予期せぬ機会を提供する可能性がある。

　ボーイングの今回のトラブルで中国の計画は実現可能となるのか？中国がこのプロジェクトに多額の投資を行い、欧米の航空宇宙企業と広範な協力を展開しているにもかかわらず、中国国産旅客機C919の受注件数はまだ期待を下回っている。C919は当初、中国国外では懐疑的な目で見られ、嘲笑さえされていた。最近まで、シンガポールの航空コンサルタント会社エンダウ・アナリティクスのシュコア・ユソフ氏も懐疑論者の一人だった。

　しかしC919が出荷され、中国商用飛機（COMAC）の受注が国内外で着実に増えるのに伴い、ユソフ氏はすぐに態度を変えた。「世間では『メイド・イン・チャイナ』というレッテルへの否定的な見方が根強いが、その認識は薄れつつある」と語る。

　C919は昨年、海外から初の受注を獲得した。ブルネイに本社を置くギャロップエアは、15機のC919をはじめとする中国製航空機30機の購入に合意した。ユソフ氏は、「関連の航空会社にとってC919購入のようなビジネスケースがますます軽視できなくなる。それに伴い、アジア・アフリカ・東欧の他の国々にも同様の動きが広がる可能性がある」と予想する。

　ボーイング737シリーズとの競争は簡単なことではない。737は史上最も売れている民間旅客機シリーズであり、約200の国と地域で5000社以上の航空会社が運航している。C919の成功は、他の要因ではなくボーイングの「自ら招いた損害」にかかっているのかもしれない。米大手航空会社の不安定な動きに落胆の声が広がるなか、中国のC919型機に賭ける航空会社も出てくるかもしれない。

　「中国網日本語版（チャイナネット）」2024年1月21日