インドネシアのシンクタンク、アジア・イノベーション研究センターのバンバン・スルヨノ会長はこのほど、首都ジャカルタで新華社の独占取材に応じ、発効から2年経った東アジア地域包括的経済連携 (RCEP)協定について、東南アジア諸国連合(ASEAN)の域内におけるデジタル経済と環境に優しいグリーン経済の発展を促進する重要な力となり、関連産業の活性化を勢い付かせているとの見方を示した。
デジタル経済面については、RCEPは貿易のデジタル化の枠組みを設け、電子商取引(EC)におけるサイバーセキュリティと消費者のプライバシーの問題を効果的に解決したほか、域内の中小企業にとって、より有利となるデジタル貿易環境を構築しただけでなく、デジタル化推進力の向上にも貢献したと評価。域内のECやデジタル決済などの分野が一段と成長するための道を切り開き、デジタル経済の発展をさらに押し上げる原動力をもたらしたと語った。
インドネシア経済担当調整大臣府のデジタルトランスフォーメーション(DX)やクリエイティブ、マンパワー問題に詳しい専門家、リザル・エドウィン氏はこのほど、ジャカルタで開かれた会議に出席し、ASEANのデジタル経済の規模は2022年に1940億ドルに達し、うちインドネシアが約4割を占めたと説明した。
バンバン氏は、RCEPの関連規則や政策的な後押しもあり、ASEANのデジタル経済の先行きは明るいと指摘。中国はデジタル経済の発展で世界トップレベルにあり、ASEANはその中国とデジタルインフラの構築や産業DX、人工知能(AI)、EC、ビッグデータ、遠隔医療などの分野での協力を強化したいと考えていると語った。
RCEPがASEANのグリーン経済発展にもたらす機会については、ASEANは再生可能エネルギーや新エネルギーといった資源に強みを持っており、RCEPは域内での先進的なグリーン技術や産業化の優位性の確立を促進し、エネルギー転換やクリーン交通などのグリーンインフラの整備を加速させたと説明。さらに「新三様」と呼ばれる中国の主要輸出品である電気自動車、太陽電池、リチウム電池の貿易を促進し、新エネルギー産業分野における中国との協力を一層深めていると述べた。
バンバン氏は、RCEPは域内の貿易水準を効果的に高めただけでなく、投資も大幅に拡大させたと指摘。RCEPの発効は企業によるASEAN市場への投資を政策面で支える一方、RCEPの関税減免や累積原産地規則も域内の産業構造のさらなる最適化に役立っている。RCEPがもたらす政策的な利点は、RCEP加盟国の企業からの対東南アジア投資を加速させ、経済協力を通じてASEAN諸国の経済振興を促進するだろうと語った。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年1月21日