今後数週間に渡り、「世界最大の人口大移動」と呼ばれる中国の「春運」(春節期間の帰省・Uターンラッシュに伴う特別輸送体制)を迎える。10年前と比べると、中国の特大都市から広がる交通量は減少し、それに代わり省内の移動が増える見込みだ。香港紙「南華早報」が伝えた。
コロナ後の世界は、リモートワークや都市の密度低下の傾向を示している。2・3級都市が発展し、1級都市が冷え込んでいる。しかし中国では一連の独特な要素が効果を発揮している。
まず、中国の一流のインフラにより、大湾区などの相互接続する都市システムが生じている。これらのシステムは都市クラスタと衛星都市を結びつけ、緊密につながる都市圏を作る。同時に中国の特大都市から離れる人が増えている。成都などの内陸部の都市が上海に代わる選択肢になっている。
しかし中国に特有の国情において、このような分散は新世界に入るというよりはUターンと呼べる。かつて繁栄する珠江デルタや長江デルタに集まった出稼ぎ労働者が今や続々とUターンしている。しかし彼らは農村の実家に戻るのではなく、その近くの新興都市中心に定住する。
現地の戸籍を持つ住民の割合は、深センの33%から北京の65%などと不揃いだ。大都市の戸籍を獲得するハードルは越えられないほど高いかもしれないが、小都市では選択肢が増えている。これらの都市は人材を争奪中だ。中国は近年、戸籍政策を徐々に緩和している。実家に近い都市中心など、人々の定住先が増えている。
中国においては、地域の競争には中央の調整が不可欠だ。成長の不均衡に対応するため、中国政府は十数年に渡り発展の格差縮小に取り組んでおり、かつ地域戦略を重要な政策のテコ入れにしている。
ハイレベルの遠見卓識の他にも、中国はビッグデータ科学をより良く活用できる。春節中の人員流動は都市化の流れの変化を反映する。そのためこれらは都市再構築モデルの解読にこの上ない視角を提供する。
人員の移動方法から得られるデータは、政策決定者に豊富な洞察力を提供し、人口移動の各方面の動向をより詳しく理解できるようにする。新たに登場したモデルは、より均衡な都市化の着実な進展を検証し、発展における格差を浮き彫りにする。
中国の都市化の広がりは毎年上演されるストーリーであり、春節中の無数の人々の旅路に記される。このストーリーは人口流動の複雑な部分を理解するため重要だ。中国の多くの人口の脈を取ることで、政策決定者は国民の経歴に基づく戦略を策定し、中国の地域発展を指導できる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年1月26日