小型電気自動車（EV）が中国南方の道路を行き来している。その低価格とポップなデザインは、一部の目立たない都市でEV革命に彩りを添えている。AFP通信が24日、伝えた。

　中国は世界最大のEV市場だ。テスラや地場大手BYDが生産するハイエンド車種は、中国の豊かな大都市の至る所で目にすることができる。しかし発展が遅れている地域では、より環境に優しい交通ツールの代表格は、販売価格が高級EVを遥かに下回る小型車「五菱宏光MINIEV」だ。中国小型EV市場の売上トップである宏光MINIEVファミリーの累計販売台数は120万台以上。地方の都市や町の低所得の消費者から購入されることが多い。

　柳州在住の曹さん（47）は、「このコンパクトカーは便利だ。駐車と充電がしやすく、しかも割安だ。これは私がこの車を選んだ理由だ。主な用途は子供の送り迎え、買い物、通勤、退勤だ」と述べた。柳州は人口約400万人の都市で、雲や霧に包まれた山間部や、酸味が爽快なタニシ麺が有名だ。

　中国地場自動車メーカーの東風、奇瑞、吉利は各自の小型EVを生産している。五菱は自ら「五菱少女」と称する女性ファンを育成し、魅力を維持しようとしている。これらの自動車はピンクやレモンイエローのカラーで愛らしく見え、一部の車種にはフランスのスイーツや日本のゲーム機の名がつけられている。多くのオーナーはアニメのステッカーなどにより車を個性的に彩っている。自動車業界コンサルティング会社「中国汽車洞察」の創業者である涂楽氏は、この手頃感は「小都市の多くの人がそれをアクセサリーにする」ことを意味すると述べた。

　宏光のような自動車は中国市場にとって重要だ。大型で燃費の悪い自動車を使用する世界の流れに歯止めをかけ、さらにはこのような交通ツールを購入できなかった人に新たな選択肢を提供した。

　「中国網日本語版（チャイナネット）」2024年2月29日