S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのデータによると、メキシコのEV及びPHEVの輸入額が今年第1四半期、前年同期比で443.9%と激増した。
ロイター通信の報道によると、現在メキシコで販売されている自動車の10台中1台は中国メーカーのもので、昨年だけでも7つの新ブランドがメキシコ市場に進出した。
メキシコで自動車生産を開始している中国自動車メーカーは今のところないが、メキシコが地理的に米国に近いことから米政府から特に警戒されている。米国の議員は、中国自動車メーカーがメキシコをEV米国進出の「バックドア」にし、米政府が先月発表した中国から輸入するEVへの100%の関税を回避することへの懸念を示した。
米国の現在の法規では、実際には不可能なことだ。
USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)によると、自動車メーカーは3つの原産地規則(完成車の地域の付加価値比率、労働の価値の比率、自動車部品)を満たさなければ優遇措置を受けられない。
つまり1台の中国車があり、これを完全に分解し何らかの変更を加え、それから組み立て直し「メキシコ車」として米国に輸出することは不可能だ。
中国車がメキシコに進出するのは当然、メキシコ人に販売するためだ。大げさに驚くようなことではない。
メキシコは自動車年間販売台数が120万台のマーケットで、さらに成長の潜在力を秘めている。そのためメキシコはすべての国の自動車メーカーにとって魅力的だ。
この記事によると、ラテンアメリカ全体で中国のEVメーカーがすでに86%の市場シェアを占めている。うちブラジルでの発展が特に力強い。BYDや長城汽車などの中国企業はブラジルで生産拠点を建設した。ブラジルは中国車の世界4位の輸出先だ。BYD、奇瑞、長城はブラジルで販売台数がトップ5の自動車ブランドだ。
そのためEV普及に関して、メキシコはブラジルに追随しているだけだ。
BYDもメキシコで工場を建設する意向を示したことがある。しかし同社の重役はメディアに対して、米国市場に進出する計画はないと明言した。
米国の議員はやや疑心暗鬼になっている。
ノルウェーのエネルギー情報会社ライスタッド・エナジーのバッテリー市場担当のバイスプレジデントは、米国とEUが中国車への関税を発表すると、中国自動車メーカーの投資先が最も先進的な市場からシフトし始めていると述べた。
同氏は、「米国が現在、中国にとって重要な市場とは考えない」と述べた。
米国の議員は安心してほしい。米政府が関税を引き下げるまで、中国のEVを使用できないだろうからだ。
EUについては、彼らが懸念していることが起きている。
中国商務部は2024年6月17日より、原産地をEUとする輸入豚肉及び豚肉関連製品の反ダンピング調査を実施することを決定した。
中国は昨年、内蔵を含む豚肉製品を60億ドル輸入し、うち半分以上がEU諸国からだった。
中国がEUから輸入する豚肉製品の中には、耳、鼻、脚などの欧州で不人気の部位が含まれる。そのため欧州の豚肉製品にとって、中国は「貴重で重要」な市場だ。
オランダ・ラボバンクの動物性タンパク質グローバルストラテジストは、「中国の全面的な豚肉禁輸はEUにとっての悪夢となり、EU全体に影響が及ぶだろう」と述べた。
しかし、この結末は避けられないだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年6月18日