世界各国の政府は前例のない91兆ドルの負債を抱えている。これは世界経済にほぼ匹敵する規模で、最終的には国民に甚大な負担を強いることにつながる。米CNN(電子版)が2日、伝えた。
国際通貨基金(IMF)は先週、米国の「慢性的な財政赤字」は「早急に対処」しなければならないと再び警鐘を鳴らした。
世界最大の資産運用会社の一つ、バンガードの世界金利責任者のロジャー・ハラム氏は、「赤字が続き、債務負担が増大しているために、(今や)中期的な懸念のほうが高まっている」と述べた。
世界中で債務負担が膨らむ中、投資家は不安を募らせている。
債務返済コストの上昇は、重要な公共サービスや、金融崩壊、パンデミック、戦争などの危機に対処するための資金が減ることを意味する。国債の利回りは住宅ローンなどの他の債務の価格設定に使われるため、利回りの上昇は家計や企業の借り入れコストの上昇も意味し、経済成長を損なう。
金利上昇に伴い民間投資は減少し、政府は景気後退に対処するための借り入れが困難になる。
米財務省元チーフエコノミスト、米ハーバード大学ケネディスクール教授のカレン・ダイナン氏は、米国の債務問題に取り組むには増税か、社会保障や医療保険制度などの給付の削減が必要になると述べた。
ハーバード大学の経済学教授のケネス・ロゴフ氏も、米国や他の国々が痛みを伴う調整をしなければならないことに同意している。米連邦政府が今年度支払う金利は8920億ドル。これは国防費を上回る額で、高齢者向け及び障害者向け保険「メディケア」の予算に近い。
議会の財政監視機関である議会予算局(CBO)のデータによると、来年の利払いは1兆ドルを超える。米国の債務残高は30兆ドル余りと、米国の経済規模と同等の規模だ。CBOは、債務残高がわずか10年後にGDP(国内総生産)の122%、54年には同166%に達し、経済成長が鈍化すると予想している。
英国の政治家も4日の総選挙を前に、現実から目を背けている。影響力を持つシンクタンクである財政研究所(IFS)は、悲惨な財政状況をめぐり二大政党である保守党と労働党が「沈黙を共謀」していると非難した。
ケニアでは、800億ドルの債務に対処しようとする試みに反発が高まっている。増税案は全国的な抗議を引き起こし、39人が死亡した。ルト大統領はこれを受け先週、同法案に署名しないと発表した。
フランスのマクロン大統領が先月、総選挙の実施を決断した後、同国の金融危機のリスクが一夜にして深刻な懸念となった。投資家は、有権者が支出増と減税を掲げるポピュリストによる議会を選び、すでに巨額の債務と財政赤字がさらに膨らむことを懸念した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年7月8日