10日の第14期全国人民代表大会第11回会議で、国務院が提出した法定退職年齢の漸進的な延長の実施に関する決定草案が審議された。定年退職年齢はなぜ延長されるのだろうか、雇用に影響は生じるだろうか。
中国労働・社会保障科学研究院の莫栄院長は、「定年延長は、高齢化に積極的に対応するための重大な改革で、中国の人的資源の十分な利用を促す」と述べた。
中国の現行の法定定年退職年齢は男性満60歳、女性幹部満55歳、女性労働者満50歳となっている。
莫氏は、「これは1950年代に当時の平均寿命、労働条件、雇用方式などに基づき決められたものだ。70年以上前の状況と比較すると、現在の平均寿命、教育年数、人口構造、労働力の需給関係に深い変化が生じた。定年の適度な延長は必然的な流れと言える」と述べた。
新中国成立初期と比べると、中国の平均寿命は40歳前後から現在の78.6歳に上がった。また労働者の教育年数が大幅に増え、勤務開始時期が大幅に遅れた。その一方で、中国の16−59歳の労働力人口が持続的に減少し、60歳以上の高齢者が増え続けている。
定年延長の改革そのものだけでなく、それと関連する雇用などの民生問題についても注目されている。
中国人口学会副会長で、南開大学経済学院教授の原新氏は、「公共政策の調整には、社会への衝撃と変動が少ないほど良いという基本原則があるが、定年延長も例外ではない。漸進的な推進は、短期間内に社会に向け放出する労働力の規模がそれほど大きくならず、雇用市場への影響は全体的に限定的だ」と述べた。
「人的資源市場の供給を見ると、一部の意欲を持ち条件を備える高齢人員の勤務継続を認めることで、減少する労働力人口の一部を補うことができる」中国人民大学教授の董克用氏は、定年延長は長期的に見ると労働参加率の維持にも有利と見ている。
董氏は若者の雇用枠について、主にこれまでの経済発展の蓄積ではなく、新規発展により提供すると述べた。「若者と高齢労働者が好む業界は重なるが、それほど大きく重なるわけではない。若者はIT、デジタル経済、新興産業などで働きたがる」
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年9月11日