中国の病院の手術室は、ほんの十数年ほど前まで、手術台と手術機械と手術用無影灯があるだけだった。手術が始まれば、執刀する医師のほかは誰も手術の進行を見ることはできず、手術室はまるで外の世界と切り離されたかのような孤立した空間だった。患者の病気が予想以上に複雑で、他科の医師の手助けや特殊なカメラの使用が急に必要になっても、即時対応は難しいのが現実だった。21世紀に入った現在、最新の科学技術の応用により、そんな状況が少しずつ改善されつつある。
オリンピック指定病院である北京積水潭医院ではこのほど、アジア太平洋地域で最も大きく機能も充実したデジタル化手術室の使用が開始された。従来の手術室の欠点を補い、手術誘導システムや医療用画像システム、映像データ送信システムなど最先端の機器が導入され、「正確」「スピード」「出血が少ない」「傷口が小さい」という4拍子そろった手術の進行を保障する最新鋭の手術室だ。
手術室に設置された機器のうち最も特徴的なのが映像データ送信システム。手術室と外部を結び、必要に応じてさまざまな情報のやりとりをすることを可能にした。たとえば執刀医が手術の過程で特殊な問題に遭遇し他の医師の助言が必要になった場合、患者の状況を映像や音声で送信することにより、その医師が手術室に来られなくても、即時に適切な対応をすることができ、手術の進行を遅らせなくてすむ。またオリンピック開催期間中、外国人選手が負傷したり手術を受けたりすることがあれば、選手の出身国の医師と映像を通じて協議したり、現地へ手術状況の中継をしたりすることもできる。
写真:北京積水潭医院のデジタル手術室
「人民網日本語版」2008年1月17日