カナダのケベックで開催されている第32回世界遺産大会において、中国福建省の「土楼」は、「世界遺産リスト」への登録が決まった。
福建省の西部と南部の山々に分布する「土楼」は、ユニークなスタイルと悠久な歴史・文化で広く知られている。「土楼」は宋代ひいては元代に築造され、明代の早期・中期において発展をとげ、明代の末期、清代、民国時代を経て円熟し、今日まで伝わってきたものである。丸い、四角い、楕円、弧状などの形の「土楼」は、世界唯一の、山間地域に築造された大型土レンガ式の建築物であり、独創性に富む土づくりの建築物芸術の粋と見られている。「土楼」は、山の地形に沿って築造され、分布も合理的で、中国の伝統的な建築物の「風水」の理念を吸収したもの。一族の人々が集まって住むための生活面や防御面の需要を満たし、山間部にあるわずかな平地や地元の土、木材、玉石などの材料を生かした「土楼」は、自らユニークな体系をなし、倹約、堅固、防御しやすいなどの特色を持ちながら、人々の美意識にもかなった土づくりの高層建築物である。近年、福建省の永定、南靖などの地域にある「土楼」は、修繕を経てさらによく保護されるようになり、世界文化遺産の登録を申請するに至ったのである。
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