影絵芝居は幻灯芝居とも言われ、動物の皮あるいはボール紙を切り取って作った人物のシルエットを明かりで照射し、その映像を布幕に投射する方法で物語を演じる芸術ジャンルの1つであり、2千年前の前漢(前206―25)時代に現れ、中国の古い伝統芸術の1つである。影絵芝居は13世紀の元代(1206-1368)から相次いでヨーロッパ、アジアの各国に伝わり、人々に「中国の幻灯芝居」と親しく呼ばれ、世界の芸術ジャンルを豊かにする上で独特な貢献をした。18世紀のゲーテからそれ以後のチャップリンなど世界の著名人に至るまで、すべて中国の影絵芝居という芸術を高く評価した。
山東省棗荘市山亭区徐荘鎮(町)の邢山頂村には農家の影絵芝居一座があり、一座のあるじは邢如雨と言い、今年51歳。家庭の薫陶を受けて、邢さんは幼い頃から影絵芝居が大好きであった。16歳の頃から大人たちと一緒に各村を回って影絵芝居を公演し、今では200セット以上の影絵芝居の道具を持っている。邢さんの話によると、影絵芝居の人物は主にウシの皮、ロバの皮で作られたもので、制作の過程はきわめて複雑で、1つの影絵芝居の人物は彫刻用の刀で3千回以上も刻むことが必要で、多くの場合30以上の刀具を使わなければならず、彫刻のテクニックは精緻そのもので、刻み方も変化に富み、絵付けと染付けにもいろいろなノウハウがあり、れきっとした工芸品の一種と言える。
現在、邢如雨さんは自分の家に無料で影絵芝居教室を開設し、邢氏影絵芝居一座はつねに学校に行って生徒たちに影絵芝居についての講義を行い、子供達に影絵芝居を学ぶ中で知識を増やさせ、幼い頃から自分たちの民族の特色のある芸能を伝承させている。
写真:小学生たちに影絵操作の技巧を教える邢如雨さん。