ベトナムのヴィンフック省が2710億ドン(約8130万元)を投じ、孔子を祀る大型文廟の建設を計画しており、世論を騒然とさせている。これほど大規模な文廟を建てる必要があるのか、文廟で孔子を祀るべきかなど、ベトナムの多くの市民が疑問視している。専門家もそれぞれの観点を示している。10日付ベトナム紙『TuoiTre』が伝えた。
ヴィンフック省の文化スポーツ観光局と計画投資局は2011年10月、同省の人民委員会に宛てた書簡の中で、「文廟は古代の思想家・教育者の孔子を祀る場所だ。中国、朝鮮、日本、ベトナムなど、儒教を尊ぶ国は孔子廟を建設している。同プロジェクトは現地の学習を奨励し、師を重んじる気風を養う」としていた。
「数千億ドンを投じ中国文化を広めるべきか?」「我が国には多くの有名な教育者がいるが、なぜわざわざ外国人を祀るのか?」ベトナムの多くのネットユーザーは、このように疑問視している。より多くの人は、経済難で多くの学校・病院・道路の整備が進まぬ中、これほど巨大な文廟を建設することに不満を示している。あるネットユーザーは、「2710億ドンがあれば、多くの学校を建てられる。多くの優秀だが家計が苦しい学生に、奨学金を提供できる。国民が納めた税金を、国は正しく使用するべきだ」と指摘した。
同省の文廟プロジェクトの歴史を考証する関係者は、「文廟に祀られるのは孔子だけという説は間違っている。客観的かつ合理的に論じれば、文廟に孔子を祀らないわけにはいかないが、孔子はその一部に過ぎず、主にベトナムの有名人を祀る」と話した。記者の調べによると、ハノイの文廟は孔子の他に、ベトナムの有名な儒学家のチュウ・ヴァン・アンが祀られている。多くの参拝客が訪れ、年越しや大学卒業シーズンには大変混雑するほどだ。ベトナム人にとって、ハノイの文廟は狭義の中国文化ではなく、伝統文化を示している。
同省の文化スポーツ観光局長は、「孔子を文廟で祀るべきかについては、多くの異論がある。省は会議で議論し、科学者および文化研究者の意見を参考にし、省人民委員会に報告し最終判断する」と話した。
多くの専門家は建設費が高すぎるという意見に同意している。ベトナムの歴史研究者は、「学習を奨励するため文廟を建設するという目的は正しいが、孔子とベトナム・ヴィンフック省の儒学家を祀る小型の廟だけで十分であり、無駄遣いする必要はない」と指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年6月11日