世界で初めて「3人の親」のDNAを用いた細胞核移植で赤ちゃんが生まれたことについて、その技術の詳細が4月3日に公開された。技術を開発した米国のNew Hope Fertility Centerの張進氏らによると、乳児の健康状態は良好である。この成功は、子供を望むが遺伝性のミトコンドリア病に悩む家庭に新しい希望をもたらした。
人は親から父親の精子の細胞核DNA、母親の卵子の細胞核DNA、母親の卵子から独立したミトコンドリアDNAの3つの遺伝子を受け継ぐ。ミトコンドリアDNAが欠けていれば遺伝性のミトコンドリア病になる。
研究者が雑誌『REPROD BIOMED ONLINE』で発表した論文で、関連の技術が細かく紹介されている。論文によると、「3人の親」を持つこの赤ちゃんは2016年4月6日に米ニューヨークで誕生した。そのヨルダン籍の母親は、ミトコンドリアの4分の1にリー脳症の遺伝子があるため、4回流産し、出産した2人の子供も早産だった。この女性を助けるため、張進氏率いるチームは「3人の親」のDNAを用いた技術を使い、問題のある卵子から健康な細胞核を取り出し、提供された卵子に入れた。提供された卵子の細胞核は取り除いてあったが、ミトコンドリアがある細胞質は残した。そうすることで、赤ちゃんは両親の遺伝子を持ち、提供女性のミトコンドリアDNAも持つことができる。
37週後に男児が出産した。男児の体内の細胞組織にあるミトコンドリアDNAの変異比率は2.36~9.33%とそれぞれ異なる。通常、ミトコンドリア病になる変異の比率は20%以上である。
現在、イギリスは「3人の親」のDNAを用いた技術の使用を認めているが、論争もあり、米国など多くの国がまだ禁止している。張進氏によると、チームはニューヨークで卵巣刺激、卵巣採集、ミトコンドリア代替手術、体外受精などを行った。その胚胎はこの技術の使用を制限していないメキシコで患者の体内に移植された。
「私たちはミトコンドリアに異常のある卵子に、健康な卵子を持つ提供者から得た正常なミトコンドリアを持たせることに初めて成功した」。『REPROD BIOMED ONLINE』のバート・フォーズ編集長は、「これは技術における重大な変化だ」としている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年4月5日