ナデラ氏がスティーブ・バルマー氏からマイクロソフトCEOの職を受け継いでから、かつての無限の帝国はぼろぼろになった。同社の時価総額は2000億ドルに減少。PC時代からモバイル通信時代になり、Windowsの価値は大幅に縮小し、資本市場でもマイクロソフトは有望視されなくなった。マイクロソフトはスマートフォンWindows Phoneをリリースしたが、市場シェアはわずか4%で、存在感はほぼない。
このような状況を受け、ナデラ氏はまずマイクロソフトの戦略方向を調整した。その調整内容を一言で言えば、産業用インターネット業務の展開である。マイクロソフトは傲慢さと軽視によりインターネット分野の多くのチャンスを逃したが、全体的に言えばこれらのチャンスはいずれも消費インターネット分野だった。これらの風当たりが強かった場所は「レッドオーシャン」となり、奪いに行っても意味がない。一方、産業用インターネット分野は「ブルーオーシャン」であり、ここを獲得できれば、マイクロソフトの再起につながる。
モデル転換を推進するため、ナデラ氏はマイクロソフトの組織構造改革を実施した。マイクロソフトはM型の組織構造を採用し、業務ごとにマーケティング・財務部門があり、連携が難しかった。この問題に対し、ナデラ氏は既存の5つの事業部を3つにまとめた。その後も組織構造の調整を継続。まず、利益能力が低いWindows Phoneやbing地図などの事業を売却・削減。また、事業発展ニーズに基づき、「体験と設備」、「クラウドコンピューティングと人工知能プラットフォーム」などの新事業部を設置した。一連の調整を通し、マイクロソフトに組織面から産業用インターネット業務を展開する準備が整った。
組織構造の調整のほか、ナデラ氏はマイクロソフトの生態上の開放を推進。同社の生態は閉ざされており、ソフトウェアはWindows向けに設計され、OSSに対しても排斥している。これらの問題について、ナデラ氏はアンドロイドやiOSなどにソフトウェアを積極的に提供することを提唱し、利益ルートを切り開いた。また、オープンソースを積極的に提唱し、OSSの開発を奨励し、これがクラウドサービスの質を保障する重要な役目を果たした。
事業設置と同時に、ナデラ氏は文化構築にも重視。ナデラ氏はチーム間の連携、各作業効率の共有を目指している。従業員の評価に関しては、個人の業績だけでなく、成果がどのように生かされているかも見る。従業員は以前と違い、自分が「この部屋で最も賢い人」であることを証明しようとする。
これらのモデル転換はマイクロソフトにとって苦痛だが、効果も現れている。マイクロソフトは生まれ変わり、AzureクラウドやHoloLensなどの新事業がWindowsとOfficeに代わり最も重要な事業発展の原動力となり、市場でも支持の声が増えている。かつての王者、マイクロソフトが戻ってきた。しかしPC時代のマイクロソフトではなく、新生マイクロソフトは産業用インターネットという新時代にいる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年12月9日