貴州省の劉文燕さんは4歳の時に交通事故が原因で片足を失なった。そのため、「新しい靴を買っても、片方は毎回捨てている」と、33年にわたって靴を買う時の悩みについて語る。そんな劉さんは、「私の夢は簡単なこと。私と同じ大きさの足の人と、靴を一緒に買うこと」だという。劉さんの「靴を片方だけ買えないものなのだろうか」という思いは、あまり注目されることはないものの、義足の人の間では切実なニーズとなっている。北京青年報が報じた。
そのようなニーズに着目し、行動を起こす人が増えている。中国身体障碍者聯合会傘下の中国身体障碍者福利基金会はこのほど、ショッピングサイト・天猫と提携し、回力やスケッチャーズ、リーボック、ナイキ エアジョーダン、キャメル、森馬、エコーといった、靴のブランド 7社と共同で、「片方の靴だけ」を販売するプログラムを打ち出し、身体障がい者を対象に片方の靴を半額で販売するサービスを提供することになった。
統計によると、中国の肢体障がい者の数は約2400万人。これらの人々はバリアフリー施設だけでなく、さらに配慮された商業サービスを必要としている。
リーボックの責任者は、「片方の靴だけを販売するというのは、1足の靴をバラバラに販売するというような簡単なことではない。サプライチェーンや設計、在庫、仕入れなど、さまざま部分を調整しなければならないが、やりがいがある。以前にもこのニーズについて検討したことがあるが、オフラインの専門店でサービスを提供できる身体障がい者には限りがあり、コストが高くなってしまう。一方、ECプラットホームなら、一つの旗艦店で中国全土のユーザーにサービスを提供できるため、全ての課題が解決でき、実行に移す時が来た」と話す。
上記の7ブランドのオンライン公式旗艦店はすでに、ダブル11(11月11日のネット通販イベント)のコーナーで「片方の靴だけを販売する」企画を実施しており、消費者が購入できるようになっている。
「片方の靴だけを販売する」というのは、始まったばかりの公益的取り組みで、ECプラットホームでは、視覚障がい者用の電子機器や読唇術を使う聴覚障害者用のマスク、シリカゲル義肢といった特殊商品も販売されている。
天猫は今年の「ダブル11」開催期間中、こうした特殊商品の専用コーナーを設置し、こうした商品を必要としている人たちがスピーディーに見つけることを可能にしている。中国身体障碍者聯合会の調査によると、中国には様々なタイプの障がい者が8500万人おり、社会公益が発展し、保障体系が少しずつ整備されるにつれて、障がい者の教育や雇用、貧困者支援なども発展するようになっている。(編集KN)
「人民網日本語版」2021年10月28日