中国の科学調査井、砂漠で地下1万mの「スパート」に成功

新疆ウイグル自治区のタクラマカン砂漠で3月3日に撮影された「深地塔科1井」（ドローンで撮影）。新華社記者・李響撮影

　中国初の1万メートル深地科学調査井が4日午後2時48分、正式に1万メートルの大台に乗った。これは深宇宙及び深海の大自然探査に続く、中国の深地分野の重大な進展だ。

　タリム油田企業首席専門家の王春生氏は、「垂直井の地下1万メートルの突破は中国初だ。石油事業関係者は数十年に渡りタリム盆地で掘削を行い、今やかつてない深さに到達した。我々は国のための油ガス探査だけではなく、地球の未知の領域と人類の認識の限界を広げる大胆な試みに取り組んでいる」と述べた。

　この「深地塔科1井」と名付けられた井の設計上の深度は1万1100メートル。2023年5月30日の掘削開始後、数百人の石油技術者と科学技術者が砂漠の奥深くに住み込み、270日以上連続で奮戦し、高温、極寒、砂嵐、複雑な地質状況などの数々の挑戦を迎えた。

　中国工程院の孫金声院士は、深地掘削の難しさは月探査事業に匹敵すると見ている。数カ月連続の掘進を経て、ビットが地下1万メートルの地層に達すると、設備は200度以上の高温と、130メガパスカル以上の高圧に耐える必要がある。「1万メートルを超えると制御が極めて難しく、1台の大型トラックが2本のワイヤー上を走行するようなものだ」