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開幕がだんだん近づいてくる上海万博
発信時間: 2010-02-09 | チャイナネット

上海側のスポークスマンが何度もテレビの映像に映し出され、胸を張って自信満々として発言しているが、私は一老ジャーナリストとして、また、一庶民として、二、三問題提起をおこないたい、1.迷子対策はどうなっているのか。両親や観光団からはぐれてしまった兒童への対策はすでに考慮済みと思うが、これも十分考えておいた方がいい。2.五月、六月、七月となると気温もかなり上昇しているので、外国人を含めて、いまから準備をととのえておく方がよい。3. 上海のスポークスマンの話では、周辺の小都市のホテル等も使うことらしいが、そうなると多方向からの会場へのアクセスが課題となろう。4.VIPは別として、一般の見学者が会場の入り口で長蛇の列をつくることは見苦しい。会場内の各施設における長蛇の列も見苦しい。こうした面でのオペレーション・リサーチはすでにおこなわれているのか。また、いろんな宗教信仰者も訪問客の中にいるはずだ。レストランでの食習慣への配慮は大丈夫か。5.ゴミの処理もおろそかにできない。会場のあちこちにペットボトルがころがっていたりしたら、「国際都市」上海にとっては面汚しである。会場は公園以上に清潔であるべきだ。上海の人たちは、中国北部の人たちより繊細なタイプが多いので、上に述べたようなことはとっくに織り込み済みのことと思う。

さらにもうひとつ、セキュリティにもぜひ注意してもらいたい。なにしろ何万人という人が会場の中を行ったり来たりするウルトラ級のビッグイベントであるので、セキュリティの仕事はたいへんだろう。私はこういう分野はズブの素人でせいぜい日本の推理小説を読んで知った知識の受け売りをする以外に能はないが、要するに盲点を突かれないようにしてもらいたい。

この30年、中国はどんどん発展を遂げている。ごく少数のものにとっては、こういう時にひと騒ぎ起こして、中国のイメージダウンをねらう最後のチャンスとなるかもしれない。主管部門の人たちがシミュレーションを積み重ねて上海万博のセキュリティを確保することを願っている。そして、あえてむずかしい注文をさせてもらうならば、中国語で言うところの「内緊外松(綿密な予測のもとで万全を期するとともに、外部に対してはソフトな感じを与えること)」を達成できれは大成功だろう。外国のメディアに「厳戒」下の万博といわれるのは避けた方がよい。新中国はもう還暦を迎え、 三本の指で数えられる世界の大国である。しかし、どうしようもない場合は別だが。

「チャイナネット」 2010年2月9日

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