林国本
今回のサッカー・ワールドカップの報道を見て、私は中国のメディア、受け手の民度の向上、円熟度を実感している。北京オリンピック、上海万博というビッグイベントを通じて、国民の国際化意識が向上したともいえるのではないだろうか。
中国は国連常任理事国であり、国連のPKO活動にも参加しており、さいきんはG20の会合にも参加している。こうした環境の中で、民度の向上がはたしてついていけるのか、と杞憂かも知れない懸念を抱いていたが、一連の動きを見ていると、私の思っていた以上の向上が見られるようだ。
今回のサッカー日本、パラグアイ戦の報道を見ていると、日本チームはPK戦にもつれ込んで敗れ去ったが、ほとんどの報道は、日本がもしも攻撃のリズムをつかみ取っていれば、違った結果になっていたかもしれない、という分析もあるくらいだった。そしてPK戦で敗れたのは、日本が「運」と「ツキ」に見放されたからだ、という見方をする人もいた。また、岡田監督のいろいろな場面での発言も、そのまま報道され、岡田監督の謙虚さが読み取れるものだった。
もちろん、日本のサッカーの発展についてあまり詳しくないせいか、日本にはブラジル移民が多くいるので、ブラジルのサッカーのスタイルに影響されている、というような見方もあった。実を言うと、日本はヨーロッパのサッカーについてもかなり研究を続けてきた。
全般的に見ると、日本チームのパラグアイとの対戦までの歩みから、その進歩の軌跡をかなりよく見ているといえよう。そして、日本チームの進歩をアジアサッカーそのものの存在感を示してくれるものと見ている。
ある評論家は、かつての日本による対中国侵略で幼少の頃から日本に好感を持っていなかったが、今回のワールドカップで、そういう過去のみにこだわるよりも、今の日本の若者たちの成長ぶりをみて大いに喜ぶものである、と書いている。
今回のワールドカップの日本、パラグアイ戦の報道を見て、スポーツはスポーツ、政治は政治ということを実感して喜んでいる。
中国にも大勢のサッカー・ファンがおり、今回のワールドカップ観戦のため、わざわざ大画面の液晶テレビを買った人もいるくらいだ。私も中国チームがワールドカップのヒノキ舞台に立つ日が来ることを願っている。
さいきん、上海のタウン・ペーパーで、日本の浦和のサッカーチームが上海日本人会のアレンジで上海に試合に来ていることを知った。ブラジル、ヨーロッパのサッカーの研究も必要だが、日本のサッカーを知ることも参考になろう。これから中国と日本のスポーツ界の交流がさらに盛んになることを願っている。そして、アジアサッカーの将来のために協力し合えば、なおさらすばらしいことである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年7月5日