英紙ガーディアンはこのほど、米国の映画界は今、世界で最も成長の早い映画市場を抱える中国の“ご機嫌取り”をして、進出を図っていると報じた。例えば、1984年の米映画「若き勇者たち」のリメーク版「レッド・ドーン」(2012年)を撮影する時には、製作会社のメトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)は元々、ソ連軍を中国軍に置き換える予定だったが、中国で反感を買うことが懸念されたため、朝鮮に変更。公開が大幅に遅れた。ハリウッドがこのようにソ連に対して譲歩することはないだろうが、中国に対しては違った対応をしているのだ。環球時報が報じた。
中国は現在、米国映画にとって世界第2位の海外市場になっている。中国の映画ファンはハリウッド映画の収入を軽く5000万ドル(約47億円)増加させる。また、中国のスクリーン数は現在、1万1千を超えている。そのため、世界4大会計事務所の一角を担うアーンスト・アンド・ヤングは、「中国の興行収入は2020年までに、米国を超える」と予測している。
このような現状に、中国の“ご機嫌取り”を始めている製作会社もある。例えば、2012年公開の米SF映画「LOOPER/ルーパー」や「バトルシップ」には中国の要素が数多く取り入れられた。特にルーパーはそれだけでなく、中国で大型連休となる国慶節(中国の建国記念日、10月1日)に合わせて、9月28日に公開となった。
このような現象に、ハリウッドの保守派からは、「1つの国の審査委員会が我々の製作に大きな影響を及ぼすようになっている。こんなことはハリウッド史上初めてのことだ」と焦りのような声が聞こえてくる。しかし、「レッド・ドーン」のような問題はこれが初めてではない。第一次世界大戦中、米国は日本を敵視するような映画を製作したが、再公開となった1923年には、日本が米国の盟友となっていたため、日本をミャンマーに変えた。ハリウッドが「超大国」を持ち上げるのは今に始まったことではない。ここ100年間、自国のためにさらに多くの興行収入を得るよう取り計らってきたハリウッドは、「米国の覇権」の旗をいつでも掲げているのだ。
「人民網日本語版」2013年3月14日