衛生部は8日、中国大陸部で最初の高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)への感染者を実験の結果確認したと明らかにした。患者は2003年11月末に原因不明の発熱と肺炎を発症しており、これまで最初とされてきた2005年11月16日の症例を2年さかのぼる。
世界保健機関(WHO)中国事務所のワディア報道官によると、これは今回の鳥インフルエンザ拡大が始まってから、世界最初の人への感染例となる。
「The New England Journal of Medicine」は6月22日、2003年11月末に原因不明の発熱と肺炎を発症した患者(24歳男性、人民解放軍士官)の標本をレトロスペクティブ分析した結果、鳥インフルエンザへの感染の可能性が確認されたとする中国の研究者8人の論文を掲載した。
衛生部はWHOと国内の鳥インフルエンザ感染診断規定に従い、中国疾病予防抑制センター、中国軍事医学科学院、WHOの専門家7人による合同専門家チームを設置し、研究室でのパラレル分析作業を行った。衛生部はさらに、臨床医学、疫学、実験病理学などの専門家を招集し、同症例を検討した。この結果専門家らは、論文の作者8人による患者の血漿・胸水・肺組織標本へのレトロスペクティブ分析の結果、および7月26~28日の合同専門家チームによる分析結果に基づき、中国の「人鳥インフルエンザ診療方案(2005年改訂版)」とWHOの診断基準に照らし、この患者を高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)への感染例と診断した。
大陸部ではこれまでに19人の感染が報告され、うち12人が死亡している。衛生部の毛群安報道官は「これまでより2年早い症例になるが、当時大陸部で鳥インフルエンザが拡大したことを示す証拠はない。パニックを起こす必要はない」と話す。
香港で1997年、最初の人へのH5N1型鳥インフルエンザの感染が確認され、6人が死亡した。家きん類の大量処分などの措置が効果を上げ、感染の拡大は抑えられた。現在の世界的な鳥インフルエンザ拡大は2003年に東南アジアから始まった。WHOによると、鳥インフルエンザの流行で8月7日までに全世界で233人が感染し、うち135人が死亡している。
「人民網日本語版」2006年8月9日